見直しが4年遅れて「患者の選別」を招いた診療報酬制度
■足りない「多死社会」への備え
もともと日本では制度の見直しが後手後手になってきた。在宅医療についても、国は病院にはめた足かせをなかなか外そうとしなかった。
「国は現在、膨張する医療費の支出を抑えるために病院よりも治療費が安い在宅医療を推進しています。訪問診療の報酬も外来よりも高く設定されるようになりました。ただし、同じ訪問診療でも、診療所と病院(200床未満)に同じ診療報酬が払われるようになったのは2010年になってからです。06年に在宅療養支援診療所制度がスタートした時は、診療所以外で対象となるのは、半径4キロ以内に診療所が存在しない病院に限定されていたのです」
普通に考えれば、医師が一人で対応しているような診療所よりも、大勢の医師が在籍する病院の方が訪問診療をやりやすいはずだ。インフルエンザが流行している時期になれば、診療所は近所の子供の診察で手いっぱいになる。そんな中で往診に行くのは困難だろう。それでも国は「往診は診療所が担うべきもの」としてきたのだ。