その咳、発熱、けだるさは「カビ」が原因かもしれない
自宅など身近にいるカビの種類にはいくつかある。「クラドスポリウム」(日本名クロカワカビ)=浴室、モルタルなど。「ペニシリウム」(アオカビ)=和洋室など。「アルタナリア」(ススカビ)=和洋室、クーラー内部、塗装などがよく知られている。
そのうち、住宅の湿気の多い風呂場などに生息する「トリコスポロン」(白カビ)や、「アスペルギルス」(コウジカビ)などを吸い続けていると、人体に影響を及ぼすことになる。
「カビを吸うことによって生体反応を起こし、肺や気管支などに厄介なアレルギー性の炎症を起こしてしまうのです」(柳原教授)
成熟したカビ(菌糸)から飛び出した胞子(2~100マイクロメートル=1マイクロは1000分の1ミリ)は、窓を開けていると風に乗って外に飛び出す。
あるいは浮遊しても、胞子によって千差万別だが30分から1時間ほどで床に落ちてしまう。部屋に落ちた胞子は、掃除をすれば問題はない。
しかし、胞子が空中を浮遊している間に、空気と一緒に吸い込んでしまった場合、問題が生じかねない。吸い込んだカビは気管と気管支を通り、枝分かれしながら細気管支に入る。その先にあるのが「肺胞」だ。酸素と二酸化炭素のガス交換をしている肺胞に入ると、アレルギー反応が起こる。つまり、リンパ球がカビを異物とみなして増加し、細気管支や肺胞を攻撃することで炎症を起こしてしまうのだ。これが「過敏性肺炎」である。