のど<上>「のみ込み力」の低下を知る10の症状 専門医が解説
のみ込み力が低下すると、食道に送られるべき食べ物や唾液が気管や肺に入り込んで「誤嚥性肺炎」を起こしたり、異物が気管に詰まり「窒息」を起こす危険性がある。また、食事量が減れば筋肉量も減り、体の機能が低下する「サルコペニア」や、栄養不足から脳の機能や思考力が低下する「認知症」の原因になる。
しかし、老化で重症の嚥下障害にいったんなってしまうと、元通りに食べられるようになるのは難しい。それは嚥下のリハビリ訓練は、状態を見ながら食べ物の形態や量、食べる姿勢を調節することが主な内容だからだ。多くの高齢者施設では、患者ののみ込み力に応じて食べる物を変えるだけというのが実情だという。
「少しむせるからといって、食べる物にとろみをつけてしまえば、のみ込み力はさらに衰えてしまいます。しかし、食事でたまにむせる程度であれば、のみ込む動作を理解して、効果的な訓練を行うことができます。まず、どうのみ込んでいるかを考えながら、水を飲んでみましょう。そうすれば、のみ込む時にどこに力を入れているか分かりますし、むせないのみ込み方を体で覚えることができます。また、それを繰り返すと、余裕をもってのみ込める『のど』をつくることができます」