著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

一刻を争う脳梗塞 救急車内の治療で後遺症が24%低下

公開日: 更新日:

 脳梗塞の治療は一刻を争います。2005年から血管に詰まった血の塊を溶かす、血栓溶解薬(組織プラスミノーゲンアクチベーター)による治療が始まったからです。この治療により血栓が溶けて血流が再開すれば、まひなどの後遺症が防げる可能性がありますが、症状が出てから4時間半以内に使用することが必要です。脳梗塞を疑うような症状があって救急車を呼んでも、病院に運ぶまでに結構時間は経過してしまいます。そして病院に着いても、今度はCTなどの検査をして、その上で薬の適応があるかどうかを判定しないといけないのです。

 そのため、多くの脳卒中の患者さんが、実際にはこの治療が適応される時期を逃してしまうのです。そこで海外では、特殊な専用の救急車にCTなどの機械を設置して、専門のスタッフが乗り込み、救急車の中で血栓溶解剤を開始する、という試みが行われています。

 今年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という一流の医学誌に掲載された論文では、アメリカにおける脳梗塞専用救急車の治療実績が報告されています。

 それによると、病院に運ぶより36分早く治療が開始され、後遺症の残る比率も24%低くなりました。これからは救急車やドクターカーが、救急治療の主体になる時代が来るかも知れません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース