ワサビには消臭や抗菌のほかに抗がんや血液サラサラ作用あり
香辛料として有名なワサビは、日本の食文化には欠かせない食材です。平安前期にできた日本最初の漢和薬名辞書にも、ワサビの効用が記されていて、その歴史の深さを垣間見ることができます。室町時代になると、刺し身のつまやそばの薬味として庶民の食卓に自生ワサビが広がったともいわれ、1800年代にはサバの臭いを消すためにワサビを用いたりなど、消臭、抗菌・殺菌作用としての利用もあります。
食用としている地域は日本の他に中国や台湾の一部の地域のみといわれていましたが、近年の日本食ブームの影響もあって、「Wasabi」として世界中に広がっています。最近ではイギリス、カナダ、オーストラリアなど栽培まで行う地域も出てきているそうです。
日本食以外にもワサビを有効活用できないかという試みもされていて、チーズやフルーツと合わせたり、その他、優れた抗菌作用に着目したフィルム状やシート状の製品が市販され、利用されています。
ワサビ特有のツンと鼻につく辛味の主成分は、アリルイソチオシアネート(AIT)。AITの抗菌作用は比較的強く、腸管出血性大腸菌O-157、ヘリコバクターピロリ菌、酵母、カビなどを防ぐ、抗菌効果を持つ特徴が報告されています。マウスの実験にはなりますが、ワサビ抽出物をヘリコバクターピロリ菌に感染したマウスへ投与すると、胃細胞の悪化を抑えられるという結果も出ているほどです。