著者のコラム一覧
森維久郎赤羽もり内科・腎臓内科院長

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

慢性腎臓病の食事療法 「野菜・果物は摂取控えめ」という考え方が変わってきた

公開日: 更新日:

 ただ、ここ数年、この制限は慢性腎臓病の患者さんすべてに当てはめる必要はないのではないかという考えも出ています。たとえば、慢性腎臓病の患者さんは便秘に悩む人が多い。これは、野菜と果物を調整したことで食物繊維が不足しているからではないかとみられています。

 慢性腎臓病の患者さんは、本来尿で排出されるはずの毒素が体内にたまりやすい。排便で排出したいところですが、食物繊維不足で便秘になると毒素は体内で滞ってしまう一方になる。当院ではすべての患者さんに一律に野菜・果物制限をするのではなく、状況や採血結果に応じ、特にカリウムが多く含まれる野菜・果物から順々に制限するという方針をとっています。

 最後に「タンパク質」の制限について。タンパク質は筋肉などをつくるのに欠かせない材料ですが、多く摂取すると尿毒素などの不要な老廃物が体内に増えてしまいます。腎機能のステージによっては、これらの老廃物が体内にたまっていきやすくなる。

 そこでタンパク質制限が指導されることになるのです。ここで覚えていただきたいのは「自己流でのタンパク質制限は非常に危険」だということ。タンパク質を制限した分、他の栄養素でカロリーを補うなどの工夫が必要なためです。必ず栄養士など専門家の指導のもとに行いましょう。

 なお、慢性腎臓病の患者さんの食事療法の考え方とレシピを1冊にまとめた「腎臓病とわかったら最初に読む食事の本」(家の光協会)を出版しています。こちらではさらに詳しく、かつわかりやすく食事療法について説明しています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」