著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

【尿酸値】が高いのはデメリットだけではない 認知症リスクが低下する

公開日: 更新日:

 尿酸値が上がると、痛風だけでなく、尿路結石のリスクも上がります。痛風患者の数%から10%以上が尿路結石を合併するそうです。尿路結石の痛みは、あらゆる病気の中で最強クラス、しかも何度も繰り返していると、慢性腎不全に進むこともあります。それだけでなく動脈硬化のリスク因子ですし、不整脈や糖尿病のリスクも上がることが知られています。

 ですから、尿酸値を適度にコントロールすることが大切なのですが、高いからといって、悪いことばかりとは限りません。じつは尿酸値が高いと、アルツハイマー病を含む認知症のリスクが低くなることが知られているのです。各国の大規模な疫学調査などから、高い人は低い人と比べて、認知症が30%前後も少ないことが、明らかになりつつあります。尿酸には、ポリフェノールをしのぐ抗酸化作用があり、それが老化から脳細胞を守っているのではないか、と考えられています。

 また尿酸値の低い人は、パーキンソン病や多発性硬化症などの神経難病に、約10%ほどかかりやすいことも分かってきました。理由は上と同様で、尿酸が少ないと、神経細胞を酸化から守る力が弱いからではないか、と考えられています。

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