著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

【基準値(基準範囲)】とは何を意味する数字なのか…上下2.5%をカット

公開日: 更新日:

 健診では、検査項目ごとに「基準値(基準範囲)」が決まっています。このシリーズでも、たびたび出てきていますが、どんな数字なのでしょうか。

 生物のさまざまな指標(身長・体重や血液成分など)は、多くの場合、釣り鐘形の分布(正規分布)になることが知られています。そこでこれを医学に応用したものが、健診などで使われる基準値です。

 まず医師によって「健康」と判定された人を大勢集めて、目的とする指標を測定します。正規分布ですから、中央付近は人数が多く、裾野に向かうほど人数が減っていきます。つまり分布の中央付近にいるほど「普通」であり、裾野の端に行くほど「珍しい」というわけです。

 ただしこの段階では、単に珍しいだけに過ぎません。もともと医師が健康と見立てた人たちですから、珍しい数字が出ても、その人は健康に違いありません。

 しかし逆に病人だけを大勢集めて測定すると、「普通」に入る人が少なく、「珍しい」人の割合が高くなっています。そこで正規分布の上位と下位を適当に線引きすると便利だということになり、上下各2.5%を除いた範囲を「基準値(基準範囲)」と呼ぶことにしたのです。ただそう決めたことにより、健康な人でも確率的に100人中5人が、基準値から外れることになってしまいました。

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