2020年から続々登場「アップルウォッチ外来」って何をするところ?
脳梗塞を起こす前に危険を察知
病院の検査や自覚症状だけでは、不整脈は見落とされる恐れがある。“いつでもどこでも”のアップルウォッチなら、その回避が期待できる。
「不整脈の中でも、多いのが心房細動。不整脈の一種で、放置すると血栓ができて、心臓から脳に飛んで心原性脳梗塞を引き起こす。命に関わる重篤な脳梗塞で、助かっても後遺症が残ることもある。脳梗塞を起こしてから心房細動が発見されるケースは珍しくないが、その前に心房細動を見つけ、治療介入をしたいのです」
心原性脳梗塞を起こした有名人では、元サッカー日本代表監督のオシム氏や長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督がいる。
アプリで心電図に異常があれば、警告サインが画面に表示される。アップルウォッチ外来は、「警告が出たが、どこに相談したらいいかわからない」という声に応える。アップルウォッチの心電図アプリの結果をどのように活用するかは、「事前にPDFで心電図をメールで送る」など医療機関によって異なる。受診前に確認を。
「当院では、アップルウォッチだけでなく、ほかのスマートウォッチの結果も受け付けています。自覚症状、年齢、持病、その他検査から心房細動かどうかを診断します。心房細動の治療後の経過観察に、心電図アプリを使うこともあります」
岐阜県在住の50代男性はアップルウォッチで心電図を測定したところ警告が表示。中島副部長の外来で心房細動と診断され、治療を受けた。
警告を受けなければ、「疲れてしんどいだけ。受診しなかった」と男性は語ったという。
アップルウォッチ外来の存在を知ったことから、老親へアップルウォッチをプレゼントする人もいる。親と自分、双方の健康のために役立ててはどうか。
▽アップルウォッチ スマートウォッチのひとつ。腕時計型のデバイスだ。アップルウォッチの心電図アプリは、手首の上で心電図を記録できる初めての消費者向け製品。現在、心電図を測定できるスマートウォッチが複数出ているが、精度はさまざま。なお、家庭用医療機器として認可されている心電図アプリを搭載しているのは、現時点ではアップルウォッチのみ。