著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【ステノトロフォモナス・マルトフィリア】“切り札”として使われる抗菌薬が効かない要注意の耐性菌

公開日: 更新日:

「ステノトロフォモナス・マルトフィリア」──。なんだか舌を噛みそうな名前ですが、こんな名前の細菌が存在します。「Steno(わずかな)tropho(栄養で生きる)monas(種族)の中で、malto(麦芽)に親和性のある(philia)もの」というネーミングです。

 以前は「Pseudomonas maltophilia」または「Xanthomonas maltophilia」と呼ばれていました。土壌や汚水など湿潤環境に広く生息する多剤耐性の細菌で、ヒトの糞便から検出されることもあります。

 ステノトロフォモナス・マルトフィリアは、平素は無害と言えるのですが、病院感染起因菌として1970年代ごろから報告され始め、1990年代になって広く注目されるようになりました。易感染患者において呼吸器感染、血流感染、手術部位感染などを起こし、肺炎、敗血症、心内膜炎などに進展して死因となることもあります。

 血管血圧測定機器、呼吸器系装置、透析機器、コンタクトレンズ、精製水、消毒薬、浴槽などの汚染を介して病院感染を起因にした例が多く報告されています。Pseudomonas属である緑膿菌とは、伝播経路、抗菌薬耐性など類似点も多く、注意が必要であると考えられます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾