中国ではゼロコロナ政策中止から2カ月で約190万人の超過死亡…3大学の詳報資料などから推計
新型コロナウイルスの感染拡大を、都市封鎖などの強権的な手法を用いて抑え込もうとする政策は「ゼロコロナ政策」と呼ばれます。特に中国では、徹底したゼロコロナ政策が実施され、新型コロナウイルス感染症による超過死亡率(本来想定される死亡率を超過した割合)は、世界的に見ても低い水準にありました。しかし、2022年12月に同国のゼロコロナ政策が中止されると、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、入院件数も大幅に増加しました。
そんな中、中国におけるゼロコロナ政策の中止と、超過死亡の関連性を検討した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに2023年8月16日付で掲載されました。
この研究では、中国のインターネット検索エンジン、百度(バイドゥ)のデータを用いて、死亡に関連した言葉(葬儀場、火葬場、埋葬など)に関する検索の頻度が分析されました。また、北京大学、清華大学、ハルビン工業大学の3校が公表した訃報資料のデータも踏まえ、中国全土における30歳以上の成人に対する超過死亡率が推定されています。
その結果、ゼロコロナ政策の終了から2カ月間で、推定187万人(人口1000人あたり1.33人)の超過死亡が確認されました。統計学的にも有意な死亡率の増加は中国全土で観察され、最も低い広西チワン族自治区においても77%の増加、寧夏回族自治区では279%の増加を認めました。
中国当局は、ほぼ同時期の超過死亡者数を6万人と公表していましたが、その数を大幅に上回る結果となっています。論文著者らは「この研究結果は、新型コロナウイルスの急速な感染拡大が、死亡率にどのような影響を与えるのかを理解する上で重要である」と結論しています。