著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

中国ではゼロコロナ政策中止から2カ月で約190万人の超過死亡…3大学の詳報資料などから推計

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの感染拡大を、都市封鎖などの強権的な手法を用いて抑え込もうとする政策は「ゼロコロナ政策」と呼ばれます。特に中国では、徹底したゼロコロナ政策が実施され、新型コロナウイルス感染症による超過死亡率(本来想定される死亡率を超過した割合)は、世界的に見ても低い水準にありました。しかし、2022年12月に同国のゼロコロナ政策が中止されると、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、入院件数も大幅に増加しました。

 そんな中、中国におけるゼロコロナ政策の中止と、超過死亡の関連性を検討した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに2023年8月16日付で掲載されました。

 この研究では、中国のインターネット検索エンジン、百度(バイドゥ)のデータを用いて、死亡に関連した言葉(葬儀場、火葬場、埋葬など)に関する検索の頻度が分析されました。また、北京大学、清華大学、ハルビン工業大学の3校が公表した訃報資料のデータも踏まえ、中国全土における30歳以上の成人に対する超過死亡率が推定されています。


 その結果、ゼロコロナ政策の終了から2カ月間で、推定187万人(人口1000人あたり1.33人)の超過死亡が確認されました。統計学的にも有意な死亡率の増加は中国全土で観察され、最も低い広西チワン族自治区においても77%の増加、寧夏回族自治区では279%の増加を認めました。

 中国当局は、ほぼ同時期の超過死亡者数を6万人と公表していましたが、その数を大幅に上回る結果となっています。論文著者らは「この研究結果は、新型コロナウイルスの急速な感染拡大が、死亡率にどのような影響を与えるのかを理解する上で重要である」と結論しています。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中島歩「あんぱん」の名演に視聴者涙…“棒読み俳優”のトラウマ克服、11年ぶり朝ドラで進化

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 4

    国分太一は会見ナシ“雲隠れ生活”ににじむ本心…自宅の電気は消え、元TBSの妻は近所に謝罪する事態に

  5. 5

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒

  1. 6

    ソシエダ久保建英にポルトガル名門への移籍報道…“あり得ない振る舞い”に欧州ザワつく

  2. 7

    「続・続・続」待望の声続々!小泉今日子&中井貴一「最後から二番目の恋」長寿ドラマ化の可能性

  3. 8

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  4. 9

    旧ジャニーズ「STARTO社」福田淳社長6月退任劇の内幕と藤島ジュリー景子氏復権で「お役御免」情報

  5. 10

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇