高齢者にとって安全性の高いコロナワクチンは? ファイザーとモデルナを比較
新型コロナウイルスワクチンの安全性について、高齢者を対象とした研究や、異なるワクチン同士を比較した研究は限られていました。そんな中、高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの安全性について、ファイザー社製のワクチンとモデルナ社製のワクチンを比較した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルに、2023年8月1日付で掲載されました。
米国で行われたこの研究では、新型コロナウイルスワクチンを接種した高齢者638万8196人(平均76.3歳、女性59.4%)が解析対象となりました。このうち、ファイザー社製のワクチンを接種した高齢者は339万704人、モデルナ社製のワクチンを接種した高齢者は299万7492人でした。各ワクチンについて、血管が詰まってしまう塞栓症や心臓の筋肉が炎症を起こす心筋炎、神経が障害されることによって発症するギラン・バレー症候群など、12種の重篤な副反応リスクが比較されました。
その結果、検討された12種類の副反応の発生リスクは総じて低く、その発症率はいずれも1.0%未満でした。最も多く発生した重篤な副反応は深部静脈血栓症の0.27%で、次いで肺塞栓症の0.23%でした。なお、深部静脈血栓症は足から心臓へ血液を戻す血管が詰まってしまう病気で、肺塞栓症は心臓から肺に血液を送る血管が詰まってしまう病気です。