子供のアトピー性皮膚炎(下)生後すぐからの治療でアレルギーの「連鎖」を食い止める
■低栄養で発育不良を招くことも
アトピー性皮膚炎だけでなく食物アレルギーも合併していると、保護者の判断で極端な除去食をしてしまうことにより低栄養となり、発達に影響することもある。アトピー性皮膚炎があると頭痛、睡眠障害、ADHD、不安、うつ病、糖尿病、肥満、高血圧、心疾患などと、直接的または間接的に関係していることも指摘されている。
「皮膚を良くすると、アトピー性皮膚炎により引き起こされていたさまざまな症状が抑えられる傾向があります」(長尾医師)
前述の通り、基本的なアトピー性皮膚炎の治療はステロイド外用薬と保湿だが、これらで症状の改善が見られない場合、かつては選択肢が限られていた。しかし昨年9月、重症のアトピー性皮膚炎にも有効な生物学的製剤(一般名「デュピルマブ」)が、日本で初めて生後6カ月から使えるようになった。
「ステロイド外用薬を頑張って塗っているけれど、気を抜くとすぐに悪化して日常生活に支障を来してしまうような重症のお子さんがいます。そんな患者さんも、注射薬のデュピルマブを使うことで劇的に改善して、『肌がスベスベになったね! 良かったね!』と言われることで治療を頑張ってくれます。注射の痛みの問題が子どもでは負担になりますが、続けていると、誰かに押さえてもらわなくても注射を頑張れるまで成長します」(長尾医師)