「RSウイルス感染症」たったひとつの対抗策…すべての乳幼児がハイリスク
RSウイルス感染症は治療薬がない。
「現状では予防の注射のみが唯一の対抗手段です」(石和田教授)
予防ではこれまで「パリビズマブ」という薬が用いられていた。効果の高い薬であるものの、一方で課題があった。
主なものでは、まず対象が基礎疾患を持つ乳幼児に限定されている。前述の通りすべての乳幼児がハイリスク群だが、基礎疾患がなければ対象に含まれない。
次に、流行時には毎月投与が必要で、やめると効果が減弱し入院率が高くなる。親の負担が大きく、毎月投与が難しい場合もある。さらに、流行開始時期が年、地域で時に大幅に変動し、適切な投与のタイミングをつかみにくい。準備段階で流行時期に突入してしまうこともある。
今年3月、新薬が承認された。「ニルセビマブ」だ。5月から現場で使われている。条件によって健康保険適用・適用外の違いはあるが、基礎疾患の有無に限らず対象。国際共同試験では1回の投与で5カ月間の有効性が示され、毎月投与の必要はなく、流行時期の変動に対応しやすい。