健康寿命は経済力で決まる(2)ロボット手術を受けられるエリアは限られる

公開日: 更新日:

 医療には地域格差が付きものです。大学病院の多くは県庁所在地にありますし、有名病院の大半が大都市に集中しています。クリニックも、大都市なら専門性で選ぶことができますが、地方ではそんな贅沢は許されません。

 より深刻なのは、最先端の医療でしょう。たとえば肺がん手術です。いまでは胸腔鏡手術(胸に穴を開けて内視鏡を差し込み、その先端から電気メスや鉗子を出して行う手術)が主流ですが、それには経験豊富な外科医が欠かせません。しかし田舎に赴任してくれる医師を探すのは、かなり困難です。

 最近は、さらに胸腔鏡ロボット手術に注目が集まっています。ロボットといっても外科医が操作するもので、自動手術という意味ではありません。手術用ロボットには手ぶれを吸収するなど、外科医をサポートする便利な機能が備わっているため、普通の胸腔鏡よりも安全かつ精度よく、がんを切ることができます。

 しかしロボット手術ができる病院は限られています。2022年度に行われた肺がんのロボット手術は、全国で5636件でした。その多くが東京都(693件)、愛知県(510件)、兵庫県(460件)、大阪府(460件)、福岡県(363件)など、特定の都道府県の大病院に集中しています。秋田県、新潟県、福井県、宮崎県、沖縄県の件数は1桁ないし0でした(NDBオープンデータ:厚生労働省)。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    ドラフト目玉投手・石垣元気はメジャーから好条件オファー届かず…第1希望は「日本ハム経由で米挑戦」

  3. 3

    高市自維政権で進む病人・弱者切り捨て…医療費削減ありき「病床11万床潰し」すでに3党合意の非情

  4. 4

    創価学会OB長井秀和氏が語る公明党 「政権離脱」のウラと学会芸能人チーム「芸術部」の今後

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    ソフトバンクに激震!メジャー再挑戦狙うFA有原航平を「巨人が獲得に乗り出す」の怪情報

  2. 7

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    米価暴落の兆し…すでに「コメ余り」シフトで今度こそ生産者にトドメ

  5. 10

    まだ無名の「アマNo.1サウスポー」評価爆上がり!23日ドラフト「外れ1位」なら大争奪戦も…