整形外科医が教える体メンテナンス(4)高齢者も筋トレとプロテインを
高齢者の骨折は寿命を縮めるとよく言われます。骨折で入院した高齢者のなかには認知機能が低下し、そのまま寝たきりになる人も少なくありません。骨折・転倒は要介護の原因のひとつとなっているのです(厚労省「国民生活基礎調査」2022年)。
「ロコモ(運動器症候群)になると、骨折・転倒が起こりやすくなり、さらにロコモを悪化させます。骨折やケガで入院した中高年の患者さんのほとんどは、退院の時、完全に元の健康体には戻りません。歩行がおぼつかなくなるし、足を引きずるようになり、杖を手放せなくなる。認知機能が低下する人もいます」
整形外科専門医の加藤敦史氏(千葉白井病院整形外科・人工関節センター長)はこう話します。
加藤医師によると、歩くのが困難になると外出が減って人に会わなくなり、認知症やうつになるリスクも増すそうです。ロコモ予防は認知症予防にもつながるのです。
「ロコモになる原因のひとつに筋肉量の減少(サルコペニア)があります。筋肉量は40歳を過ぎると減少し始めます。何もしないでいると落ちる一方になり、歩行が困難になったり転倒や骨折をしやすくなったりします」(加藤医師=以下同)