「稼げる研究」優先の壁に阻まれ研究休止に…マンパワーの問題解消が再開の条件

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 安全よりコスト優先の金儲け主義が未曽有の原発事故を招き、水産業を苦しめるトリチウム水の海洋放出に至ったのではなかったか。

 その後、山西氏らの研究は22年度をもって休止となった。

「一度に分離処理できるトリチウム水の量は飛躍的に伸びましたが、トリチウム水の除染率は50%止まり。連携先の企業は90~100%近い除染率を求めていましたから。また、除染率を高く維持するための素材再生も課題です。再開には正直、マンパワーの問題を解消しなければなりません。研究主導員である井原辰彦先生はご高齢でもあり、以前ほどは研究がすすめられません。集中して関わる研究者は何人も必要です」

 トリチウム除去の実用化には、まだまだ経費も時間もかかる。そのためにも研究への理解と支援が求められる。ようやく東電も重い腰を上げた。政府の海洋放出方針の決定に伴い、21年5月からトリチウム分離技術の公募を開始。3カ月ごとの募集で、評価判定は第三者機関に委託する。

 これまで国内外から136件の提案があり、15件が1次評価を通過。2次評価を経て10件が実地適合性の検証に移ったとはいえ、直ちに実用化できる段階にはないのが実情だ。

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