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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

全車250万円以下の超絶アジアンコスパ タイ開発インド生産「ホンダWR-V」が絶対売れる理由

公開日: 更新日:

ホンダWR-V(車両価格:\2,098,800/税込み~)

 この物価高で400万円超えの国産ハイブリッドSUVも多い中、なんと全グレード250万円以下! 目を疑う超絶アジアンコスパSUVの日本導入が決定したのでご紹介する。12月21日発表の新型ホンダWR-Vだ。

 納車は2024年3月からと少し先だが、すでにディーラー受注はスタート。とにかくコスパが凄すぎて、最近発注すらできなくなった例のリーズナブルなダイハツSUVの一部代わりになるのでは? ともくされている。

 実力がまずうかがえるのは、サイズとデザイン。全長×全幅は4325mm×1790mmの大人5人乗りで、ホンダの人気コンパクトSUVヴェゼルとほぼ同じ。唯一違うのは60mm高い1650mmの全高で、確かにヴェゼルよりハコっぽく、装飾少なめで色気も抑え気味。

 しかし逆にヴェゼルよりハコっぽく、コチラの方が道具っぽくて好きという人もいるはず。加えて室内は明らかに高く広めで使い勝手も良好。特にラゲッジ容量は390ℓのヴェゼルに対し、458ℓと圧倒的に有利。家族とアウトドアに行くには持ってこいの使い勝手だ。

 ただし見方次第ではあるが、良いことばかりではない。なぜ安いかって、従来のホンダ車と違ってタイで開発され、インド生産されるアジアンホンダ車だから。明らかに国内に比べて開発&製造コストが抑えられるはず。

ASEAN向きのシンプル仕様

 とはいえクオリティー面の心配は少なく、開発拠点はアジア最大規模を誇るタイのホンダR&Dアジアパシフィック。主にASEAN向け車両の開発を行っているとはいえ、レベルは上がっており、最近タイで欧州向け車両を製造するメーカーも多い。部品サプライヤーを含めクオリティーは上がっている。

 しかしWR-Vには諦めなくてはならない部分もあり、まずパワートレインは1.5ℓガソリン+CVTしか選べない。流行りのハイブリッドは設定すらなく、フルタイム4WDも選べない。ATも手動のストレートタイプだし、サイドブレーキも電子式はなく昔ながらのレバー式。グレードも3タイプから選べるが、走りの性能は基本まったく変わらずで、雪国在住の電動エコ派には向いてない。確かにASEAN向きのシンプル仕様ではあるわけだ。

 ただしそれ以外は全くもって現代的。1.5ℓエンジンは118ps&142Nmのピークパワー&トルクでヴェゼルガソリンとほぼ同等。WLTCモード燃費も16.4km/ℓでヴェゼルの17.0km/ℓとだいたい同じ。

ズバリ、売れそうな気がする

 乗り味に関してはまだ分からないが、普遍的な操作系も含め視界良好で、若い人から年配まで乗りやすそう。

 デジタル性能も優れており、先進安全のホンダセンシングやLEDヘッドライトは標準だし、メーターも7インチデジタル標準で、ナビ類もスマホ連携に優れた9インチのホンダコネクトが選べる。

 肝心の価格だが、アルミホイールやLEDフォグランプが付き、外装ドレスアップ仕様で250万円以下(248万9300円)の「Z+」も十分安いし魅力的。

 ただしイチバン安い「X」はなんと209万円強で、ホンダセンシングやLEDヘッドライトも標準。見た目は確かにテッチンホイールなのが、何だが意外にショボくない。

 スバリ、10年前かそれ以前の価格感で買えるガソリンSUV、ホンダWR-V。売れそうな気がする。来年の試乗レポートが待てない人は買っちゃってもいいかも?

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