今、ダイハツの代わりに買うべきクルマ(1)タントの代わりに買うなら何を選ぶべき?
ダイハツの新車はしばらく買えない?
年末に突如大騒ぎになったダイハツ不正問題。いわゆる国が品質保証をする「型式認証」という過程において、新たに25の試験項目で174件の不正行為が見つかったわけだが、国交省の担当審議官を直撃したところ、「今は立入検査をしている段階。174項目を改めてチェックするので、(再審査結果や再発防止策)がいつ出るかはわからない」という。
そもそも現在、ダイハツ車および一部トヨタブランド車も全車出荷停止の状態で、販売店で新たに買うことはできない。またダイハツの国内4工場は少なくとも1月末まで操業停止で先は読めず、正直、しばらくダイハツ新車は買えなくなったとみていい。
しかし、新車は「楽しみ」で買う一方、軽自動車などは生活必需品という側面もある。そこで代わりに何を買うべきか。その場合どんな利便性を失うかを勝手に想定してみた。
タントの代わりならN-BOXかスペーシア
直近11月、国内でイチバン売れているダイハツ及びトヨタブランド車1位は、タントの1万5988台。今国内で最も活気のある両側スライドドアを持つ軽スーパーハイトワゴンというジャンルで、この代わりは一見簡単だ。
今国内でブッチギリに売れているホンダN-BOXか、同様に人気のスズキ スペーシアを買えばいい。サイズと価格はタントとさほど変わらず、両車とも昨年末期に新型3代目に代わっているのでフレッシュ。上質感や広さではN-BOX、燃費の良さではスペーシアが上回る。
ただしタントでなければいけない点もある。それは左側のミラクルオープンドアだ。競合ともに両側スライドドアだが、タントのみ助手席側のセンターピラーがない。つまり前後ドアを開け放つと、子供を横に寝かせたまま乗り降りできる横幅1.5mほどの巨大開口部が生まれる。荷物の乗せやすさはもちろん、子供が傘を開いたまま乗り降りすらできる。子育て世代に特に有用だが、この性能は惜しい。オマケに運転席にスーパーロングスライド機構が付いているので、雨の日の車内移動やリア席の子供のケアがラクチン。これまた結構惜しい利便性だ。
トールの代わりはソリオ一択
販売2位は1万1194台のトヨタ ルーミー。ダイハツ トールとしても売られているOEM車で、両車を合わせると月販1万2000台近い。これまた両側スライドドア付き実用ワゴンだが、こちらは軽ではなくいわゆる小型車。よって代替案は唯一スズキ ソリオのみとなる。ソリオの直近月販は3933台で、CMで橋本環奈ちゃんが頑張ってる割りに台数は少ない。だが、クルマのデキがルーミーより悪いかって? いや逆だ。
デザインは好き好きだが、サイズはどちらも背高フォルムで似通っており、全長が2020年にフルモデルチェンジしたソリオの方が9cm弱長い。これはラゲッジ長にかなり効いており、測り方にもよるが10cmほどトールより長く、リアシートを一番下げた状態で機内持ち込み用トランクが6個も載る。逆にトールは4個ほど。この違いもデカい。
さらにソリオのほうが軽量かつマイルドハイブリッド付きもあるので、WLTC燃費最良はリッター19km台。18km台のルーミーより若干よい。乗り心地もシートを含めてソリオのほうが柔らかく、個人的にはソリオはかなりオススメだ。
ムーヴの代わりはワゴンR スマイル
3位は7292台のダイハツ ムーヴ。普通ドアのムーヴと両側スライドドアを持つムーヴ キャンバスの軽トールワゴンだが、事実上いまはキャンバスのみ。これは一見N-BOXやタントに似ているが、全高が1.6m台と微妙に低い。その分利便性は落ちるが、窓小さめでオシャレでキュートなデザインが売りになる。
このライバルも少なく、事実上スズキ ワゴンR スマイルのみ。正直見た目以外は意外に違いは少なく、分かりやすいところではスマイルの方が最大で4cmほど背が高いので、微妙に頭上が広い感じはある。
また両車ともに後席シートスライド付きだが、スマイルのみ畳むと座面ごと下がって荷室がより低くフラットになる。ただしムーヴキャンバスはリア席に置きラクボックスなる装備が付いており、荷物を固定して置ける。ここは好き好きだし、最大の違いはぶっちゃけキュートさ。
ワゴンR スマイルも丸目で窓小さめで可愛いが、より丸っこくて2トーンボディーがワーゲンバスっぽのがキャンバス。
確かにダイハツの代わりは、100%ではないにせよ、ある。とはいえ、切磋琢磨する競合相手がいないのはユーザーからみても不幸だ。つくづくダイハツの適切な再生を願う次第である。