岸田政権“ドヤ顔”の定額減税やっぱり効果なし…消費冷え込みクッキリ、長引く物価高

公開日: 更新日:

物価高に悩まされ続ける

 ただでさえ、過去最高の賃上げ水準で企業の人件費コストは上がっている。財・サービスともに上昇圧力が高まりやすい環境になっている中、企業がコスト増を吸収すれば業績悪化につながるし、価格に転嫁すれば消費を落ち込ませかねない。痛しかゆしの感がある。

 岸田が消費の起爆剤として打ち出した定額減税はフタを開けてみれば、ほとんど効果ナシだった。定額減税が始まった6月の家計調査によると、2人以上の世帯が消費に使った金額は実質で前年同月比1.4%減。消費者態度指数は6月から7月にかけて0.3ポイント上がっただけ。肝心の7月の消費者マインドの基調判断は〈改善に足踏みがみられる〉だ。6月判断から据え置きである。

 頼みの定額減税は不発で、消費者物価に先行する企業物価は爆上がり、物価の押し上げ要因である円安基調は根強いまま。この状況で、どうして消費が上向くのか。いわんや日本経済においてをや、である。

「6月の家計調査を見ると、貯蓄率が上がったことが分かります。裏を返せば、定額減税分は消費ではなく貯蓄に回ったということ。一時的に所得が増えると貯蓄に回りやすいという『恒常所得仮説』を裏付ける結果になりました。実質賃金が27カ月ぶりにプラスになったのも、ボーナスによって底上げされたから。消費増の環境が整っていません。まずは物価抑制が最優先。物価高を放置してきたから消費が冷え込んだのであって、利上げが景気を冷え込ませるという定説はもはや成り立たない状況です。日銀は本来の役割を取り戻し、マーケットにとって多少の痛みが伴うとしても、物価抑制を第一にするべきです」(斎藤満氏)

 日銀は株価を気にして、追加利上げに腰が引けている。円安基調に歯止めがかからず、また値上げの波がやってくるか。

  ◇  ◇  ◇

 ●関連記事『【もっと読む】植田日銀はハト派→タカ派→再びハト派へとコロコロ…「対話の失敗」が招いた為替と株の乱高下』では、植田総裁の“コミュニケーション欠如”について詳報している。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  2. 2

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  3. 3

    赤沢経済再生相「2回目」関税交渉に早くも不発の予兆…切り札の“ジープ特例”ほぼ効果なしと識者バッサリ

  4. 4

    何者かが無断でクリームパン訪問販売…「八天堂」も被害か? 状況は「清水屋」に酷似

  5. 5

    ついに出た4つ目のクラウン、新型エステート登場! コイツがもしや“ベスト”なのか?

  1. 6

    国内自動車大手6社で減益4兆円の恐れ…トランプ関税と円高のWパンチで「我が世の春」の終焉

  2. 7

    トランプ関税で「過去80年間の世界経済システムがリセットされた」 IMFの警告が示唆するもの

  3. 8

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

  4. 9

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  5. 10

    データセンターの地方分散が急加速 首都圏や大阪圏への集中から北海度、九州へ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動