岸田政権“ドヤ顔”の定額減税やっぱり効果なし…消費冷え込みクッキリ、長引く物価高
「日本経済は新たなステージへの力強い移行が続いている」──。マイナス続きだった実質賃金が6月に27カ月ぶりにプラスへ転じたことを受け、岸田首相は胸を張っていたが、何のこっちゃだ。経済指標を見れば、景気の先行きはもとより、景気を支える消費の落ち込みは一目瞭然。肝いりの定額減税も焼け石に水だったのに、よくも「力強い移行」などと言えたものだ。
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日銀が13日発表した7月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は123.1と、前年同月比3.0%上昇。昨年8月以来、11カ月ぶりの伸び率だった。
押し上げ要因は、主に政府による電気・ガス代の補助金がいったん終了したことや、天候不順による農林水産物の値上がりなど。企業物価指数は家庭が購入するモノ・サービスの価格の動きを表す消費者物価指数の先行指標だ。先行きについて日銀は「政府の電気・ガス代補助金が8月使用分から再開し、全体の押し下げに働く」と分析しているが、どうなのか。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「7月の輸入物価を見ると、円ベースで前年同月比10.8%プラスです。6月の伸び率よりもさらに高い。円安による輸入コストの押し上げも大きく、政策的、季節的な要因だけでは片づけられません。円安によって原材料価格が上がれば、企業間の取引に影響し、財すなわち物品の価格に跳ね返ってきます。日銀は『物価の番人』たる本来の役割を忘れ、株価本位の動きを見せています。利上げに踏み切ったものの、マーケットの反応におののいて、内田副総裁が『市場が不安定な状況では利上げしない』と修正を図ってしまった。一時的に円高に振れても円安基調に変わりなく、物価高に悩まされる状況が続きそうです」