オリンパス社長が違法薬物で辞任 事実上の“解任”に既視感…13年前にもドロドロの権力争い
実は、今回の解任劇には既視感がある。オリンパスを巡っては、2011年10月、当時のマイケル・ウッドフォード社長が突然、解任された過去がある。会社側は解任理由について「経営の進め方が独断的なため」と発表したが、実際は、ウッドフォード氏が、過去の企業買収をめぐる経理上の疑惑を調査し、君臨していた菊川剛会長と副社長であった森久志氏の引責辞任を迫ったことにあった。ところが直後に開かれた取締役会議で、ウッドフォード氏は逆に社長職を解任されてしまう。後任社長には菊川氏が会長兼務で就任した。
これに対して、ウッドフォード氏は事の経緯を一部マスコミに暴露し、その異常な企業買収と会計処理の実態が明らかになる。損失額は1000億円を超えるものだった。オリンパスはバブル崩壊時に出した多額の損失を隠すために、実態とかけ離れた高額による企業買収を行い、それを投資失敗による特別損失として処理していたのだ。歴代の会社首脳は「粉飾」を知りつつ公表していなかったことを公式に認めた。菊川氏も辞任に追い込まれた。
今回、違法薬物購入疑惑で辞任したカウフマン氏はウッドフォード氏以来の外国人トップで、売り上げの8割超を占める医療事業など「グローバル・メドテックカンパニー」を牽引してきた。社長に就任してまもない時期に解任される事態もまさに相似形だ。
オリンパスの業績は好調そのもの。だが、「業績が好調な時ほど、内部の権力争いは熾烈になりやすい。外国人トップであればなおさらだ」(メガバンク幹部)との見方もある。