大王製紙 井川意高元会長(1)106億円をカジノで溶かした超秀才の少年時代
エリエールで知られる大王製紙の創業家3代目の井川意高氏が東京地検特捜部に逮捕されたのは2011年11月のことだった。10~11年、シンガポールやマカオのカジノで負けが込み、大王製紙の子会社数社から106億8000万円を借り入れていた。特別背任に問われ、懲役4年の実刑が確定。3年2カ月服役した後、16年12月に出所した。
「私はともかく、幹部の裏切りによって創業家が排除された」と悔しそうに振り返る井川氏。本人が会長辞任を余儀なくされたのは仕方ないにしても、父の井川高雄氏まで顧問を解任されたのは痛恨の極みだった。高雄氏は創業家2代目として、大王製紙を業界3位に押し上げた立役者。そんな中興の祖まで、新経営陣は追放したのである。
井川氏は1964年7月、京都市で生まれた。3歳になる頃まで同地で暮らしたが、その時代の記憶はまったくない。情景が脳裏に浮かぶのは一家がニューヨークに渡ってから。
「マンハッタンのセントラルパークで父とアメリカンフットボールの球を投げ合っている姿が記憶に残っています。その写真があるので、覚えている気になっているだけかもしれませんが」