<第9回>血の滴るステーキを見た瞬間、ナイフとフォークを置いた
モンゴル人力士は来日後、食べ物のギャップに苦しむケースが多い。内陸国のため、まず、魚を食べる習慣がない。川魚はあっても、都市部で売られているのは冷凍ものがほとんど。海の魚は口にしたことすらない者も多い。それでも煮たり焼いたりすれば何とかなるものの、刺し身など、とてもじゃないが食べられない。
前出の力士が言う。
「でも、さすがに数年も日本にいれば食べられるようになりますよ。僕もいまはお寿司が大好きですし(笑い)。お菓子とかは食べられても、肉や魚など『モンゴルではこんな食べ方はしないのに』という抵抗があるんだと思います」
さらにこの力士によれば「モンゴル人力士が共通して食べられず、慣れることも難しいものがひとつだけある」と続ける。
「アンコですよ、アンコ。あれはダメ。モンゴルにも甘いお菓子はありますが、アンコは何というか、ただ甘いだけのような感じ。何とも言えない食感も嫌ですね。ケーキとかはおいしいですけど。アンコはできれば口にしたくはないです」
ちなみに横綱白鵬もアンコだけは大の苦手だ。