心臓病
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心毒性のある抗がん剤を使っているがん患者は心不全に注意
今年3月、一部の抗がん剤で心臓への強い副作用が出ることを受け、日本臨床腫瘍学会や日本腫瘍循環器学会が心臓に対する副作用への対応などについて初めてガイドラインをまとめました。 乳がん、肺がん、胃がん、大腸がん、悪性リンパ腫とい...
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薬のプラスアルファの効果が日本人の健康寿命に関係している
前回、尿酸値と心房細動を含む心臓疾患は深く関係していて、心臓を守るためには尿酸値をきちんとコントロールすることが大切だとお話ししました。そのために、尿酸値を下げる薬をうまく使うこともおすすめしました。その際、尿酸生成抑制薬の“おまけ...
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尿酸値をしっかりコントロールして心臓を守る 心房細動とも関係
中年期に尿酸値が高いと将来的な心房細動リスクが大幅に上昇する──。今年1月、アメリカ心臓協会のオープンアクセスジャーナルに、そんな研究結果が報告されました。スウェーデンのカロリンスカ研究所が、30~60歳で心血管疾患の既往がないスウ...
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大掛かりな手術では術中から血栓ができやすい状態になる
足の骨折や股関節など下肢の整形外科手術を受けた後、療養中に運動量が減ってしまうと、足の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」、その血栓が血流に乗って心臓まで移動し肺の動脈に詰まる「肺血栓塞栓症」を起こすリスクが高くなると前回お話ししま...
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療養中に下肢でつくられた血栓が動脈に詰まり手術で取り除くケースも
病気やケガで入院や自宅での療養が続き体を動かす時間が減ると、足の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」と、その血栓が血流に乗って心臓まで移動して肺の動脈に詰まる「肺血栓塞栓症」を起こす危険があります。そのまま重症化するとショック状態に...
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死亡リスク3.5倍の「心房細動」に要注意…患者の4割が無症状
「心房細動」と聞いて、どんな病気かわかる人はそう多くはないのではないか? 巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんやサッカー日本代表元監督のオシムさん(故人)が心房細動が原因で脳梗塞を起こした──と言えば「あぁ」と思う人もいるかもしれない。3...
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「もうひとりの自分」と「時間が止まる」 高みを目指す過程で現れた2つの感覚
前回、およそ20年ぶりに手術での縫い方を変えたことについてお話ししました。チームのスタッフとの連携があまりうまくいかないケースがあり、縫合している最中に糸が切れてしまうトラブルが何度か発生したことが大きなきっかけでした。 手...
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20年ぶりに手術での「縫い方」を変更した理由 変革は常に必要
これまで何度もお話ししてきたように、近年の心臓手術は患者さんの負担をより小さくする「低侵襲化」の方向に進んでいます。 新しく開発された医療機器を使用する治療法もありますが、低侵襲化のベースになっているものの多くは従来の手術で...
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進化する低侵襲治療は「高額医療」でもあると知っておくべき
これまで何度かお話ししてきましたが、近年、心臓手術は「低侵襲化」の方向に進んでいます。これまでの手術と同じ内容のまま患者さんの負担をより小さくするための方法が模索されているのです。たとえば、「TAVI」(経カテーテル大動脈弁留置術)...
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心臓移植はドナー不足…「再生医療」の進歩に期待したい
重度の心臓病により移植しか助かる方法はない──そう診断された幼い子供が、米国に渡航して心臓移植手術を受けるケースが相次いでいます。 日本では1997年に臓器移植法が施行され、脳死と判定された人からの臓器移植が可能になりました...
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「運動」は動脈硬化を予防するためにきわめて大切
前回に引き続き、動脈硬化の予防についてお話しします。 心臓から送り出される血液を全身に行き渡らせる役割を担う動脈が硬くなって柔軟性が失われる動脈硬化が続くと、狭心症、心筋梗塞、大動脈解離、大動脈弁狭窄症といった心臓疾患をはじ...
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動脈硬化を予防するには「脂質」のコントロールが最重要
昨年7月、日本動脈硬化学会が制作する「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」が5年ぶりに改定されました。同ガイドラインはもともと1997年から「高脂血症診療ガイドライン」として発表されていたもの(2007年に現在の名称に変更)...
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心不全の「緩和ケア」はこれからどんどん進化していく
2018年から心不全が「緩和ケア」の対象疾患になり、近年、注目されていると前回お話ししました。心不全とは、心臓の働き=ポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった病態で、放置して慢性心不全になると徐々に心機能が低下してい...
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近年注目の心不全に対する緩和ケアはQOLの維持と向上を図る
近年、心臓疾患の領域で「緩和ケア」がクローズアップされています。これまで、日本における緩和ケアはがん患者を対象に発展してきたことから、心臓疾患に対しては十分な体制が整ってはいませんでした。 WHO(世界保健機関)は緩和ケアを...
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下肢静脈瘤の新たな治療「血管内塞栓術」は確実性が高く負担が少ない
これまで何度かお話ししているように、高齢化が加速している日本ではこれから「足の血管」の治療がますます重視されるのは間違いありません。 「歩けなくなる」という状態は、QOL(生活の質)が大幅に低下するだけでなく、健康寿命を縮めて...
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負担が少ない低侵襲治療を受けるなら裏にあるリスクを知っておく
医療が急速に進歩しているいまだからこそ、あらためて「安全で適切な医療」を見直すべきだと前回お話ししました。まずは薬の処方について取り上げましたが、手術をはじめとした治療も同じです。 患者さんの命を守り、安全に手術を行ううえで...
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トラブルを防ぐためにあらためて「薬の適切な処方」を見直したい
医療は年々、進歩を遂げています。診断や治療機器は急速に進化していますし、よく効く薬も続々と開発されています。それに伴い、より質が高く、患者さんの負担が少ない治療が行われています。しかし、だからこそ「適切な医療」をもう一度見直すべきだ...
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MICSを受けるなら1人の執刀医が集中して手術を行っている病院が望ましい
今年10月、日本心臓血管外科学会誌に掲載された論文で問題視された「MICS」(ミックス)による“死亡事故”は、知識や経験が不足した外科医による不手際が重なって起こった可能性が高い──。前回、そうお話ししました。 MICSとは...
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小切開手術での死亡事故は経験不足の医師による不手際が重なった
今年10月、専門誌である日本心臓血管外科学会誌に心臓手術での医療事故を巡る論文が掲載されました。2020年12月、国立国際医療研究センター病院で実施された「MICS」(ミックス)と呼ばれる低侵襲の心臓手術を受けた70代の男性が手術中...
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心臓病の改善や予防に効果があるサプリメントはほとんどない
「心臓に良いサプリメントはありますか?」 患者さんからこんな質問をされることがあります。結論からお話しすると、低下した心臓の機能そのものを回復させたり、ダメになった心筋を蘇らせるようなサプリメントはありません。治療はもちろん、...
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男性と女性ではリスク因子が異なるケースがあると意識したい
今年9月、男性と女性では心血管イベントのリスク因子にいくつか“違い”があるという研究が世界的医学誌「ランセット」で報告されました。カナダのマックマスター大学の医師らが、35~70歳の約15万6000例を対象にした大規模前向きコホート...
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家電製品を活用して心臓に良い「環境」と「食生活」をつくる
前回、心臓を守るために使いたい電化製品として「睡眠補助装置」と「ミストサウナ」を取り上げました。ほかにも効果的だと考えられる製品があるので紹介します。 まずは、室内の適切な湿度を保つ「加湿器」です。とくに冬は空気が乾燥するう...
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心臓を守るために普段から使いたい2つの電化製品
以前、心臓を守るための正しいエアコンの使い方についてお話ししました。心臓にトラブルを抱えている人は、体温の管理や体液のバランスを維持することが重要で、それらを安定した状態で管理するにはエアコンを適切に利用して室温=環境温度を整えるこ...
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狭心症の発作を抑えるニトログリセリンは服用のタイミングが重要
高齢で動脈硬化が進んでしまうと、さまざまな病気の原因になります。心疾患のひとつである狭心症も動脈硬化が原因で起こります。狭心症は心臓に栄養や酸素を送る冠動脈が狭くなることで起こり、発作時は主に胸痛が現れます。 予防が重要で、...
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心臓手術で使われる人工臓器はどれくらい耐久性があるのか
人間は脳さえあれば少なくとも数百年以上は普通に生きられる──。ある脳科学者がこんなことを話していました。 たしかに、「体のほかの細胞とは違って脳は老化しない」という説を唱えている学者もいます。これが本当だとすると、脳の健康を...
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コロナ感染は症状が治まっても血栓ができやすい状態が続く
新型コロナウイルスの第7波はピークアウトしたといわれますが、それでも都内だけで1日あたり1000人以上の新規感染者が出ています。これから年末年始にかけては第8波の到来も予想されていることもあり、引き続き警戒が必要です。 とり...
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進化する画像診断機器を生かすにはソフトの開発も欠かせない
前回、負担の少ない低侵襲な内視鏡手術で使われる8K内視鏡を中心に、急速に進歩している画像診断機器についてお話ししました。治療や検査の真っ最中に、より高精細な画像を撮影することが可能になったハードの進化はもちろん重要なのですが、それと...
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最新の8K内視鏡は安全性を高めて手術の完成度を向上させる
今年4月、心臓の拍動による画像のブレを低減するCTシステムが富士フイルムヘルスケアから登場しました。画像処理の際に心臓の動きを推定し、冠動脈などに発生するブレを低減する技術が搭載されています。また、画像処理速度も従来の2倍向上してい...
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逆流性食道炎がある人は胸の痛みの原因をしっかり鑑別する
前回、糖尿病の人は「痛みのない心臓発作」に注意すべきというお話をしました。心臓発作は、心筋に酸素や栄養を供給する冠動脈の血流が大幅に減ったり、途絶えてしまったときに起こるもので、迅速に処置をしなければ突然死するケースもあります。多く...
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糖尿病の人は「痛みのない心臓発作」に注意したい
心臓発作は、心筋に酸素や栄養を供給する冠動脈の血流が大幅に減ったり、途絶えてしまったときに起こります。主に狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患で見られます。 心臓発作の症状は「胸痛」が多く、締め付けられる、重苦しい、焼けつくと...