心臓外科医が教える患者のための基礎知識(1)心房細動が心配な人はアップルウオッチで心電図を

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 国家権力を担う警察、検察、裁判所、軍隊のことを「暴力装置」と呼ぶことがあります。国家が社会の秩序を維持するための「必要悪」なのですが、庶民にとっては「いつ何をされるかわからない」怖い存在です。

 さて、医者も同じく「権力」を持っています。医師免許があるから、とも言えますが「知識」があるからです。「末期がんですね。正月はありませんよ。でも、今すぐ死ぬわけじゃないからお帰りの際は車にひかれないように」──こんな宣告を受けたと激怒して電話してきた弁護士さんがいました。「識っている人」は「知らない人」にとって「権力者」なのです。

 皆さんの頭の中でも「知識」が権力者としてふるまうのではないでしょうか。「あのワクチンはインチキだ! 絶対接種しないぞ」。その人が「正しい」と判断した「知識」が「信念」となり、行動を決定している人をよく見かけます。

 たとえば、「心臓の手術って、一度心臓を体の外に取り出すんですよね?」と聞いてくる患者さんがいました。誰が吹き込んだのか知りませんが、これは正しくありません。「信念」にまでたどり着いた「でたらめ」を正しい方向に説得することは困難です。情報があふれる今日、頭の中には「知識」と呼ばれるさまざまな「権力者」がいて皆さんを支配していることでしょう。

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