感染症
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【チャーハン症候群】食中毒を起こすセレウス菌は食べ物を室温で放置することで増殖
「チャーハン症候群」(fried rice syndrome)という言葉が海外のSNSを中心に話題になっているようです。チャーハン症候群とは、セレウス菌を起因菌とした食中毒のことを指しています。昨年の秋ごろ、5日前のトマトソースパスタ...
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【エムポックス】日本で初の死亡報告 不特定多数の人と密接な接触は避けたい
昨年の12月13日、エムポックス患者の死亡例が、国内で初めて確認されました。「エムポックス」とはいわゆる「サル痘」のことです。以前に当欄で取り上げた直後、「エムポックス」へと名称変更されたのです。 ちなみに「M」は、英語でサ...
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【クロストリジオイデス・ディフィシル感染症】再発を起こりにくくする2つの治療法
前回、抗菌薬の投与が原因で下痢などを起こすクロストリジオイデス・ディフィシル感染症は「再発しやすい」とお話ししました。 この原因はいろいろ考えられるのですが、よくみられるのは「治療薬の投与日数が短すぎる」というケースです。治...
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「立ちんぼ」の一掃で梅毒の増加は抑えられるのか…新宿歌舞伎町で95人逮捕
警視庁は20日、日本最大の歓楽街である東京都新宿区・歌舞伎町の大久保公園周辺の路上で買春客待ちをしていた女性たち95人を今月中旬までの3カ月半の間に売春防止法違反(客待ち)で逮捕したという。この期間は取り締まり強化中で、今年の同地区...
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薬不足で大ピンチ! インフルエンザから身を守るには?
今年も寒さが一段と身に染みる季節を迎えた。この時期ともなると何かと話題を集めるのがインフルエンザの流行に関することだ。全国の小・中・高校で学級閉鎖が相次いでいるという今、インフルエンザにかからないようにするにはどうしたらいいのかを考...
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【クロストリジオイデス・ディフィシル感染症】抗菌薬で腸内細菌が殺菌されることで発症
抗菌薬を服用した際、副作用として下痢や軟便を伴うことがあります。「抗菌薬関連下痢症」と呼ばれるもので、その原因菌の代表とされるのがディフィシル菌です。抗菌薬の投与によって腸内細菌が殺菌されると、多くの抗菌薬に対し耐性を持つディフィシ...
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コロナ感染は脳の構造変化も引き起こす? 後遺症とも関連か
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)には、めまい、頭痛、味覚異常、倦怠感など、さまざまな症状が知られています。また、新型コロナウイルスに感染すると、脳梗塞を発症しやすくなる可能性も報告されています。 最近の...
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【動物咬傷】感染予防の抗菌薬が供給不足で処方できないケースも
私見ですが、夏休みや冬休みになると、イヌやネコに咬まれた人が多く受診される印象があります。ペットのイヌやネコからしても、年末年始に久しぶりに帰省してきた家族をみると、「誰だこいつっ!! ガブっ!」と、いきたくなる気持ちもわからなくも...
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マスク着用の効果の検討で「コクランレビュー」を取り上げなかった理由
今回はこれまでの議論をいったん休憩して、これまで紹介してこなかった論文について取り上げたい。医学研究をまず探しに行く際、「システマティックレビュー」(注1)と呼ばれる複数の論文をもれなく検索し、批判的吟味したうえで検討した論文を探し...
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感染者数が昨年の2倍に急増中…「マイコプラズマ肺炎」にご用心
これからの季節、注意したいのはインフルエンザだけではない。国立感染症研究所によると、先月6~12日に確認された「マイコプラズマ肺炎」の感染者数が昨年と比較して2倍以上だと報告されている。「呼吸ケアクリニック東京」理事長の木田厚瑞氏に...
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医療の中でのギャップ…「診療所」と「病院」のコロナ重症者の確率の違い
ここまでは論文と個別のギャップについて取り上げてきたが、今回は「現場の違い」によるギャップについて検討したい。 「マスク着用を継続すべきだ」という意見は病院医師から発せられることが多く、「マスクはやめるべきだ」という意見は病...
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【ニパウイルス感染症】有効な治療薬がなく致死率は40~75%と高い
「ニパウイルス感染症」をご存じでしょうか? 今後、世界でアウトブレークするかもしれない新種のニパウイルスによる感染症です。 ニパウイルスは1998年にマレーシアで発見されました。同国で流行した原因不明の脳炎を引き起こした“犯人...
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【ワキガ】粘り気のある汗を常在菌が発酵させて臭いを放つ
以前、当連載でニキビについてお話ししたことがあります。ニキビは単純な感染症ではないのですが、アクネ菌の繁殖も要因のひとつとなっています。同様に、「ワキガ」も単純な感染症ではないものの、菌の増殖が原因のひとつとして挙げられます。 ...
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コロナワクチン実用化までに投資された米国の公的資金はいくら?
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、予防医療における大きな成功のひとつは、同ウイルスに対するmRNAワクチンの開発と実用化だったといえるでしょう。 実際、ワクチンが実用化された初年度だけでも、米国において110万人の死亡が...
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新型コロナだけではない…普通の風邪でも後遺症がある?
新型コロナウイルス感染症では、一度治った後でも、「後遺症」(正確には罹患後症状)と呼ばれる体調不良が数カ月、場合によってはそれ以上という長い期間、残る場合があることが知られています。中には後遺症のために仕事を長期間休まないといけない...
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【リステリア症】免疫が低下している人は少量でも感染する危険あり
「リステリア症」は、リステリア・モノサイトゲネス(以下、リステリア)という細菌による感染症です。リステリアは河川の水や動物の腸管内などに広く存在していて、主に食品を介してヒトに感染します。 他の一般的な食中毒菌と同様に加熱によ...
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マスクを常に着用する場合の「害」の検討はなぜ難しいのか
引き続き、学校現場でのマスク着用についてである。「マスクの着用を求めない」というガイドラインの(注1)記述は、学校という場所においては、マスクをしてもしなくてもよいというよりは「しないほうがよい」というニュアンスがあるのかもしれない...
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「パパ活」「性感染症」「不妊症」…“貧困ニッポン”でジワジワ広がる背景
「世界第3の経済大国」の日本が、今年の名目GDP(国内総生産)で日本の3分の2の人口のドイツに抜かれ4位に転落した。すでに昨年のIMF(国際通貨基金)のデータでは国民1人当たりの名目GDPはイタリアに抜かれて32位。ニッポンは“貧しい...
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【TDM】薬剤耐性菌MRSAに対する治療では欠かせない有効な手段
前回、「TDM」(Therapeutic Drug Monitoring)に薬剤師が深く関わっている、というお話をしました。今回は、広く知られている薬剤耐性菌「MRSA」の治療について、薬剤師がどのようにTDMを活用しているのかを紹...
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いまだに学校の感染対策に医学研究の成果が考慮されないのはなぜか
引き続き、学校でのマスクの扱いについて取り上げていきたい。学校での感染対策に関して、文部科学省が2023年5月に「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を公表している。それによればマスクの取り扱いは以下のよ...
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【TDM】薬の効果の判定や副作用を避けるため採血が必要なケースも
医薬品の投与後に表れる薬効には個人差があり、同じ用量の薬物であっても血液中の薬物濃度は人によって異なることがわかっています。安全域や有効血中濃度域が狭い薬物では、これらの個人差が致命的な副作用をもたらすこともあるので注意が必要です。...
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EXILEのATSUSHIさん公表…ダニに噛まれて発症する「ライム病」ってどんな病気?
今年9月、EXILEのATSUSHIさんが罹患を明かした「ライム病」。カナダ人歌手のジャスティン・ビーバーさんも罹患を公表している。ライム病とはどんな病気なのか。兵庫医科大学皮膚科学の夏秋優教授に話を聞いた。 「ライム病は『ラ...
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インフルとコロナ感染拡大…学校関係者はマスクに関する科学的研究成果を知るべきだ
学校でのマスク着用効果の続きである。前回紹介したのはマスク着用前後でのコロナ感染の増加を見た介入研究であったが、前後比較にはその時々の流行に左右されるという決定的な問題がある。そこで今回は同時期にマスク着用と非着用を比較した観察研究...
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流行性角結膜炎ってどんな病気? 全国の学校で感染症が大流行
解熱剤や咳止めといった風邪症状の病気に欠かせない薬が品切れだという。季節外れのインフルエンザに加え、新型コロナやその他の風邪症状を引き起こす感染症の患者が増えているためだ。街中で咳き込む人やマスクをする人が目立ち、休校や学級閉鎖に追...
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【抗菌薬の長期投与】耐性菌だけでなく副作用や体内蓄積にも注意が必要
多くの感染症では、耐性菌発生の観点からも同じ抗菌薬を2週間以上継続することは避けられる場合が多いです。しかし、結核など一部の感染症では抗菌薬を長期間継続しなければ治癒しないことも知られています。このように抗菌薬の長期投与が必要な感染...
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繰り返される学級閉鎖 …いまこそマスク着用の有用性についての科学的検証を行うべき
コロナとインフルエンザの季節外れの流行が重なり、学級閉鎖が全国で急増している。厚労省が公表している「インフルエンザ様疾患発生報告(学校欠席者数)」2023/24シーズン第5報(10月2日~8日)によると、この週の全国の休校数42校、...
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【マダニ媒介新興感染症】世界各地で新たなウイルスが続々と発見されている
近年、マダニが媒介する新興ウイルス感染症が話題になっています。 「オズウイルス」は、2018年に愛媛県でマダニの一種タカサゴキララマダニから世界で初めて見つかりました。昨年は厚生労働省が、茨城県内において心筋炎で死亡した70代...
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論文と現実のギャップ…「サブグループ分析」で目の前の個人に近い人で解析
前回と同じ「論文結果と個人のギャップ」についてである。両者のギャップは埋めがたい。目の前の個人にぴったりする情報があることはまれである。ギャップがあるから論文に意味はないというのは簡単だ。しかし、意味がないと言ってみたところで、目の...
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サル痘改め「エムポックス」 日本でワクチンの臨床研究がスタート
サル痘改め「エムポックス」の感染がじわじわと広がっている。10月3日発表の感染症発生動向調査週報速報データ第38週(9月18~24日)によると、新たに2件増えて今年の累積件数は197件。9月29日までだと206件となった。 ...
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なぜ帯状疱疹ワクチンの対象年齢が、50歳以上から18歳以上に拡大されたのか
チクチクピリピリといった痛みの後、水ぶくれを伴う赤い発疹ができる帯状疱疹。これを予防する帯状疱疹ワクチンはこれまで50歳以上が対象だったが、対象年齢が一気に拡大し、条件付きとはいえ18歳以上になる。なぜ? 愛知医科大学皮膚科学講座教...