高嶋哲夫(作家)
3月×日 東京で新幹線を降り、ホームを見回す。人、人、人。それも大きなトランクを持った外国人が多い。思わず、世界を死と混乱に追い込んだ、コロナウイルスはどこに行ったと、叫びたくなる。神戸の田舎に住んでいると、コロナの恐怖はほとんど感じなかったが、閉塞感は常にあった。友人の中には大きな被害を受けた者もいる。新型ワクチンが現れ、3年以上世界を震撼とさせたコロナ禍も終息を迎えようとしている。個人的にはワクチンは3度打った。
友人にアンチワクチン派がいる。「ワクチン後遺症」の話はさんざん聞かされていた。それが理由ではないが、ある個人的な問題で、ワクチンの負の面も知っておきたいと思い、鳥集徹著「コロナワクチン 私たちは騙された」(宝島社 1000円)を買った。陰謀論的なモノではない。しかし、日本政府はアメリカの製薬会社と、どういう契約を結んだか。今後、ワクチン後遺症問題は多く現れそうだ。フォローしていきたい。
3月×日 現在、「パルウイルス」文庫化のゲラの再校をチェックしている。単行本から、かなり手を加えた。今後、新型ウイルス問題は増えるかもしれない。地球温暖化が進み、人間の自然破壊の影響も大きい。人にとって危険なウイルスが宿主とする小動物が、本来の自然生活から追われ、町に出て来る。ウイルスは変異を繰り返し、ヒト、ヒト感染にまで変異する。
すべての原因が地球温暖化にアリでもないが、生態系の異変などが起こり、思いもかけなかったところに、影響が現れるのだろう。パンデミックもその1つだ。
中国武漢から始まった、コロナパンデミックも、明確な発生源の特定にいたることもなく、終わるのだろうか。
3月×日 佐藤凜著「跳ねる、跳ねる。」(エネルギーフォーラム 1980円)が届いた。第10回エネルギーフォーラム小説賞、受賞作だ。実は僕、選者の1人だ。エネルギー、環境を打ち出した賞だが、幅広い。さまざまな分野の本を読むことによって、普段なじみのない世界の基礎知識が得られる。これもまた、読書の魅力だ。