週末オススメ本ミシュラン
-
「未来予測入門 元防衛省情報分析官が編み出した技法」上田篤盛著/講談社現代新書/2019年
近未来予測はインテリジェンスにおける重要な機能だ。上田篤盛氏は、陸上自衛隊の情報部隊での実務経験を生かしてインテリジェンス分析の優れた作品を上梓した。 <「インテリジェンスとはなにか?」をあら…
-
「データで読み解く「生涯独身」社会」天野馨南子著/宝島社新書
日本社会が抱える最大の問題は、少子化だろう。国力の低下も、年金制度の崩壊も、少子化が最大の原因になっている。政府もそのことを分かっていて、幼児教育の無償化や働き方改革の推進など、子育て支援に躍起にな…
-
「新聞記者・桐生悠々忖度ニッポンを『嗤う』」黒崎正己著/現代書館
「だから、言ったではないか、疾くに軍部の盲動を戒めなければ、その害の及ぶところ実に測り知るべからざるものがあると」 関東防空大演習を嗤って「信濃毎日新聞」を追われ、個人誌「他山の石」を発行して…
-
「上級国民/下級国民」橘玲著/小学館新書/820円+税
膨大なデータを基に“不都合な真実”を明かす著者の橘氏はこれまでに「言ってはいけない 残酷すぎる真実」(新潮新書)や「もっと言ってはいけない」(同)などのベストセラーを発刊してきたが、今回も同様のテー…
-
「怪しい戦国史」本郷和人著 産経新聞出版/2019年
実証性にこだわりすぎると歴史の本質を見失うことがある。19世紀のヨーロッパで史的イエスの探究という流行があった。イエス・キリストの行動や発言をできるだけ実証的かつ客観的にとらえようとする研究だ。その…
-
「愛と欲望の三国志」箱崎みどり著/講談社現代新書
著者は、ニッポン放送の現役アナウンサーで、私は数年前、一緒に番組に出ていたことがある。「不思議な人だな」とそのとき感じていた。アナウンサーというのは多かれ少なかれ、「私を見て」というオーラを出してい…
-
「愛国という名の亡国」安田浩一著/河出新書
自らもレイシストたちの罵声を浴びながら、ヘイトスピーチの最前線で取材を続けてきた著者のこの本は、現在の日本のいびつな姿を白日の下にさらけだす。著者が差別を憎むのは、その向こう側に、戦争と殺戮が見える…
-
「今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由」ジャロン・ラニアー著、大沢章子訳 亜紀書房/1800円+税
バーチャルリアリティー研究の大家が書いた本だ。私はネットニュースの編集者という仕事をしているため、ネット上で発生したトラブルに関し、取材を受けることは多い。よく聞かれるのが「日本のウェブ空間は特殊か…
-
「ルポ『断絶』の日韓なぜここまで分かり合えないのか」牧野愛博著/朝日新書/2019年
日韓関係が悪化している背景にある構造を深く取材した優れたノンフィクションだ。特に韓国海軍に深刻な問題があるようだ。 <韓国海軍は(中略)「大洋艦隊」「大洋海軍」へのあこがれを示してきた。公式に…
-
「父が娘に語る経済の話。」ヤニス・バルファキス著/ダイヤモンド社
著者は、最近世界で注目を集める「反緊縮」運動の旗手だ。2015年にギリシャの財務大臣に就任し、財政緊縮化を求めるEUの要求を敢然と拒否して、大幅な債務の棒引きを要求したことで名を馳せた。その著者が、…
-
「豆腐屋の四季」松下竜一著/講談社文芸文庫
“時の人”の滝川クリステルが「おもてなし」とスピーチする映像が繰り返し流れる。 それを“表なし”なら“裏ばかり”じゃないかと痛烈に皮肉ったのはお笑い芸人の松元ヒロだった。権力といちゃつかないホ…
-
「ヒトラーの正体」舛添要一著/小学館新書/840円+税
ヒトラーといえば、誰もが知っている人物なのだが、多くの人が彼について語る場合は「史上最悪の独裁者」「演説が上手」「ユダヤ人を迫害した」「親衛隊」「ゲッベルスという部下がいた」「愛人と一緒に自殺」「ハ…
-
「50歳からのむなしさの心理学」榎本博明著/朝日新書/2019年
榎本博明「50歳からのむなしさの心理学」は、仕事中心に生きていた中年サラリーマンの実態を見事に描いている。 <50歳の声を聞くと、仕事をすることで自分が習熟していく感じがなくなるばかりか、ビジ…
-
「グラビアアイドルの仕事論」倉持由香著/星海社新書
私は、ラジオ番組で共演するまで、著者のことをまったく知らなかった。「普通のグラビアアイドルだな」というのが、第一印象だった。もちろん、一般人と比べたらきれいなのだが、売れっ子のグラビアアイドルは、人…
-
「殿山泰司ベスト・エッセイ」大庭萱朗編/ちくま文庫
脇役俳優として、いぶし銀のオーラを放っていた殿山泰司は、また、独特の文体をもつ名エッセイストでもあった。通称トノさんの「三文役者あなあきい伝」は私は自伝の傑作として三本指に入ると思っているが、残念な…
-
「つみびと」山田詠美著 中央公論新社/1600円+税
2010年の「大阪2児置き去り死事件」に着想を得た小説だ。なぜ若い母親(蓮音)は子供たち2人を置き去りにして遊びまわった揚げ句、2人を餓死させるに至ったのかを蓮音とその母、琴音の視点から描く。また、…
-
「データサイエンス入門」 竹村彰通著/岩波新書/2018年
ビジネスパーソンから「データサイエンスについて知りたいので、入門レベルの良い本を紹介してほしい」と尋ねられることがよくある。「いろいろ読んでみたけれど、竹村彰通先生の『データサイエンス入門』が専門的…
-
「なぜリベラルは敗け続けるのか」岡田憲治著/集英社インターナショナル
アベノミクスで景気は拡大したというけれど、実質賃金は大きく下がり、消費税は2度も上がることになった。さらに賃金統計の不正調査問題は解決されていないし、老後の不安も拡大している。投票権の大部分は庶民が…
-
「『安倍晋三』大研究」望月衣塑子著/KKベストセラーズ
「きちんとした回答をいただけていると思わないので、繰り返し聞いています」 官房長官の菅義偉にこう食い下がる望月の姿は、彼女をモデルとした映画「新聞記者」にも出てくる。スクラムを組んで力強く望月…
-
「黒いマヨネーズ」吉田敬(ブラックマヨネーズ)著 幻冬舎/1300円+税
最近私は女性向け恋愛情報サイトで連載をしているが、書いていることは基本的には「男の考えていること」に加え「男はいかにバカか」である。著者と私は同年生まれで同様に大酒飲み。何度も「なに、この人、一緒に…