酒をめぐる物語
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「センセイの鞄」川上弘美著
居酒屋のカウンターに隣り合わせた人と偶然同じものを注文したりすると、「おっ、ご同類」と親近感を持ったりする。酒のつまみというのは、その人の趣味嗜好がよく表れるもの。本書もそんな場面から始まる。 …
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「文豪と酒 酒をめぐる珠玉の作品集」長山靖生編
夏目漱石は「酒は飲まぬ。日本酒一杯位は美味いと思うが、二三杯でもう飲めなくなる」と書いているように、酒は飲んでも付き合い酒くらいだったという。本書の冒頭には、そんな漱石の「元日」という作品が置かれて…
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「呑めば、都 居酒屋の東京」マイク・モラスキー著
著者が留学生として初めて日本の地を踏んだのは1976年。ホームステイ先は東京・葛飾区の京成線沿線のお花茶屋。お花茶屋の隣駅の立石は、今でこそ下町酒場の聖地として名を知られているが、当時はまだ無名の町…
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「大阪 下町酒場列伝」井上理津子著
東京の下町といえば、「谷根千」に代表されるように、ある程度のエリアとイメージが確定しているが、大阪の下町にはそこまで確固としたエリアはないようだ。とはいえ、いわゆる下町情緒あふれる庶民的な場所はふん…
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「バーボン・ストリート・ブルース」高田渡著
日本のフォークソング界で独自の位置を築き、多くの人に愛された高田渡が亡くなってもう15年近く経つ。晩年の高田はいつも酔っぱらっているイメージで、泥酔した高田を介抱してくれる人に「どなたか、存じません…
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「イスラム飲酒紀行」高野秀行著
イスラム圏の多くの国は飲酒禁止、製造・販売も原則禁止。国によって差違はあるが、基本的に旅行者用のレストランやホテル以外で酒を口にすることは難しい。「私は酒飲みだ。休肝日はまだない」と豪語する著者は、…
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「東京ワイン会ピープル」樹林伸著
10年ほど前のこと、漫画の中であるボルドーのワインが紹介されたことによりワインの価格が高騰し、そのワインの醸造所が出荷を停止するという事件が起こった。その漫画こそ「神の雫」で、ワイン表現を独特のイメ…
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「東京酒場漂流記」なぎら健壱著
「悲惨な戦い」という歌をご存じだろうか。大相撲の取組中にまわしが解けて力士の大事な部分が衆人にさらされてしまうという一幕を語り口調で歌ったもので、発表当時(1973年)、かなり話題になった。それを作り…
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「 幻の混合酒(ブレンド)」(「1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編」所収) O・ヘンリー著 芹澤恵訳
雑誌「洋酒天国」で、開高健とともに酒の登場する小説を片っ端から読みあさった山口瞳が、酒そのものを描いた小説においては、どの作家も、このO・ヘンリーの短編に遠く及ばないと絶賛したのが本作だ。 【…
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「酒呑みの自己弁護」山口瞳著
開高健が芥川賞を受賞し寿屋(現サントリー)宣伝部を退職し、入れ替わりに入ってきたのが山口瞳だ。雑誌「洋酒天国」の編集を手がけ、「トリスを飲んでハワイへ行こう!」という名キャッチコピーを作った。そして…
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「アモンティリャードの酒樽」(「E・A・ポー」所収) エドガー・アラン・ポー著 鴻巣友季子訳 桜庭一樹編
シェリー酒というと食前酒というイメージが強いが、辛口から超甘口まで幅広く、いろいろな飲み方のできる酒だ。シェリーはスペインのアンダルシア地方のヘレス周辺で造られる酒精強化ワインのことで、シャンパンと…
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「酒道楽」村井弦斎著
「昼までは禁酒を誓う二日酔い」なんて川柳があるように、ひどい二日酔いに苦しんだときには、もう酒はやめようと誓いはするものの、ちょっと時間が経つと、まあいいかとばかりにまたぞろ酒を飲み始める、というのは…
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「あなたに似た人 新訳版 Ⅰ」所収 「味」ロアルド・ダール著、田口俊樹訳
吉行淳之介との対談(「美酒について」)の中で、開高健はこのダールの短編は「取材費が注ぎ込んであるという印象やね」といっている。そう、この作品にはワインの味を表現するのに多彩な言葉が繰り出されていて、…
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「対談美酒について」吉行淳之介、開高健著
今年は開高健没後30年、吉行淳之介没後25年。開高は「美味求真にして鯨飲馬食」の作家。「ロマネ・コンティ・一九三五年」というワイン小説の名品もある。吉行は「酔っぱらい読本」を編んだり、エイミスのエッ…
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「飲めば都」北村薫著
2017年、30年ぶりに行われた「日本人の飲酒動向調査」によれば、30年前に比して男性は飲酒率が減少したのに対し、女性は20%も増加している。理由として「普段の生活でのストレス頻度が変わった」という…
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「酒宴」(「金沢・酒宴」所収)吉田健一著
民謡の「会津磐梯山」の中に「朝寝 朝酒 朝湯が大好きで それで身上つぶした」小原庄助なる人物が登場する。実在の人物ではないらしいが、白河市には「伝小原庄助」の墓があり、伏せた徳利を上にのせた墓石に辞…
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「やし酒飲み」エイモス・チュツオーラ著 土屋哲訳
やし酒は主に東南アジアやアフリカで飲まれる、やしの樹液を発酵させた醸造酒のこと。地域によってやしの種類や造り方が異なるようだが、本書の舞台、アフリカのナイジェリアでは、やしの幹を切りつけそこから滴る…
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「牛肉と馬鈴薯・酒中日記」国木田独歩著
「百薬の長」という言葉があるように、酒にはさまざまな効用がある(無論、度を過ぎなければの話だが)。そのひとつにストレスの緩和がある。アルコールが入ると緊張がほぐれる。まあ、多分に酒飲みの自己弁護的な理…
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「ちょっと一杯のはずだったのに」 志駕晃著
「チョイト一杯のつもりで飲んで……気がつきゃホームのベンチでゴロ寝」ではないが、酒好きであれば、一度はこうした失態をしでかした経験はあるだろう。とはいえ、気がついたときにもし人を殺していたとなると「失…
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「牡丹酒 深川黄表紙掛取り帖(二)」山本一力著
高知(土佐)というと酒好きというイメージがある。実際、飲酒費用では47都道府県1位、アルコール消費量2位と、イメージ通りの数字が上がっている。そうしたお国柄だけに亀泉、久礼、酔鯨といった銘酒が多く造…