天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
-
心臓疾患にかかりやすい血液型があるのは本当か
血液型がO型の人は心臓発作を起こすリスクが低い――。昨年11月に開催された米国心臓協会学術集会で、こんな研究報告がありました。 インターマウンテン医療センター心臓研究所のチームによると、大気…
-
日本ではどんな時間帯に手術をしても成績に差は出ない
「心臓手術は午前中よりも午後に実施した方が安全性が高まる」 昨年末、そんな研究が英国の医学雑誌「ランセット」に報告されました。フランス・リール大学の心臓専門医チームが、心臓弁膜症などで人工弁置…
-
患者の長い人生に付き合っていく 医者としてのひとつの道
心臓病は65歳以上の高齢者に多い病気です。2015年の人口動態統計によると、心疾患で亡くなった人は計19万5933人で、そのうち65歳以上が17万9493人でした。2012年の数字ですが、当院で行わ…
-
ノロウイルスは心臓にも大きな負担をかける
これから本格的に「インフルエンザ」や「ノロウイルス」といったウイルス性疾患の季節が続きます。これらの感染症は若い世代がかかってもあまり重症化するケースは少なく死亡率も低いのですが、70歳以上の高齢者…
-
現実の外科医は「私、失敗したくないので」がスタートライン
「私、失敗しないので」――。去年、第5シリーズが放送されたドラマ「ドクターX」の主人公・大門未知子の決めゼリフです。米倉涼子さん演じる大門未知子はフリーランスの天才外科医で、大学病院に雇われる形で誰も…
-
心臓の悪性リンパ腫の手術でチーム医療の重要性を再確認
先日、「心臓の悪性リンパ腫」の手術を執刀しました。心臓外科医として独り立ちしてから二十数年間で初めて遭遇した非常にまれな疾患です。 患者さんは80代の女性で、心不全に似た症状があって来院され…
-
日本で研修を受けている外国人医師は母国の「これからの医療」を支える人材になる
順天堂医院では、外国人医師の研修を数多く受け入れています。近年、日本で進んでいる医療の国際化がさらに加速するためのきっかけになればいいという意図もありますが、日本で臨床を学んだ外国人医師たちが母国に…
-
「傷を治す」外科医の原点に立ち返えれば患者の負担も軽減できる
外科手術は、「その方法でなければ機能を取り戻せない、健康を回復できない」といった病状に対し、エビデンス(科学的根拠)にのっとって行われるのが大前提です。その前提に加え、近年は「低侵襲」という方向性が…
-
これからは「国民皆保険」で守られてきた医師ばかりという時代になる
「すべての国民に一定水準以上の平等な治療を提供する」 そんな理念を原則にしている日本の国民皆保険制度を私は素晴らしいものだと考えています。この制度のおかげで、保険を使って受けることができる医療…
-
「限られた時間」を有効に使う大切さを若手に伝えている
これからを担う若手の心臓外科医を育てるため、近年はできるだけ若手にチャンスを与えるように意識しています。 「自分にしかできない」という手術はもちろん私が執刀します。しかし、自分が執刀しなくても…
-
外科医にとって「自己管理」は不可欠な適性といえる
医師の仕事はカッコいいものではありません。重症の患者さんのために連日病院に泊まり込んだり、急患が入って休日の予定をキャンセルすることも日常茶飯事です。「24時間働いている」と公言する医師もいます。 …
-
高齢化で複雑になる緊急手術に備えて実践していること
好きだったお酒をやめてから3年半がたちます。やめた理由はいくつかあるのですが、いちばん大きい理由は「緊急手術」に備えるためです。 近年、高齢化が進むにつれて緊急手術の中身も複雑になってきてい…
-
「バチスタ手術」は決定的な外科治療とはいえなかった
「特定疾患」に指定されている難病の「特発性拡張型心筋症」は、病気そのものを治す決定的な治療法がありません。心筋細胞が変性し、心臓の筋肉がどんどん弱まることで僧帽弁閉鎖不全症や心房細動が表れる疾患で、進…
-
拡張型心筋症は治療を始めるタイミングが重要
「特発性拡張型心筋症」という病気があります。心筋細胞が変性して、心臓、とりわけ左心室の筋肉が収縮する働きが低下し、左心室が大きくなってしまいます。 そうなると血液を心臓からうまく送り出せなくな…
-
ドラマのようなコラボレーション手術は現実でも行われる
今年1月、TBSの医療ドラマの総合医療監修を務めました。ドラマの中で、主人公の心臓外科医である木村拓哉さんが、元恋人で小児外科医の竹内結子さんの手術を行います。竹内さんが脳腫瘍に侵されていることが分…
-
納得いく治療を受けるために知っておきたい2つのポイント
近所のクリニックや医院を受診されている患者さんの中には、大学病院などの特定機能病院でセカンドオピニオンを受けたいと考えている人も少なくありません。本当に適切な治療が行われているのか不安がある場合、納…
-
川崎病の患者さんは若くしてバイパス手術を行うケースが
若くして心臓手術が必要になる場合に、比較的多くみられるのが「川崎病」の患者さんです。 川崎病とは、主に4歳以下の子供に発症する病気で、全身の血管に炎症が起こります。まず、発熱、咳、鼻水といっ…
-
「先輩がした手術」という事情で再手術を断る外科医がいる
かつて、心臓手術は「再手術が当たり前」と考えられていました。例えば、冠動脈バイパス手術で使用される足の静脈や、弁の交換で使われる生体弁などには“賞味期限”があるため、一定以上の期間を超えるときちんと…
-
心臓手術を受けた後に心房細動が表れる患者が増えている
外科医として独り立ちしてから二十数年、あらためて実感しているのが、「心臓の手術を受けた人は、術後に心房細動になりやすい」ということです。 これまでも言われていたことなのですが、術後に心房細動…
-
「卵円孔開存」は術後の感染症心内膜炎リスクを高める
心臓の弁を交換する手術を受けた患者さんは、術後に感染性心内膜炎を発症するリスクがアップします。心臓を覆っている心膜や心臓の中にある弁に細菌が取り付いて感染を起こす病気で、血液内に侵入した細菌が交換し…