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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

心臓疾患にかかりやすい血液型があるのは本当か

公開日: 更新日:

 血液型がO型の人は心臓発作を起こすリスクが低い――。昨年11月に開催された米国心臓協会学術集会で、こんな研究報告がありました。

 インターマウンテン医療センター心臓研究所のチームによると、大気汚染が、心臓発作のリスクが高まる危険レベルに達したとき、A型、B型、AB型の人はリスクが2倍にアップするのに比べ、O型は1.4倍にしか高まらなかったといいます。

 別の研究でも、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患の発症リスクはO型が最も低く、O型に比べるとAB型は23%、B型が11%、A型は5%ほどリスクが高かったと報告されています。

 研究者によると、血液型をO型に決定する酵素が、冠動脈疾患を予防する働きに関わっているといいます。確かに、そうした要因も関係しているのでしょう。ただ、私の経験では、心臓疾患の発症に対して血液型による大きな差があるとは感じません。いずれの血液型もそれぞれ一定の割合で患者がいる印象です。

 それでも、いわゆる血液型占いでよく言われている「血液型気質」が、多少なりとも心臓疾患の発症に影響している可能性はないとはいえません。例えば、O型の人は「のんびりしていて、小さなことにはこだわらない性格」だと喧伝されています。科学的根拠はありませんが、そうした“情報”を頻繁に目にして自己暗示にかかり、その傾向に近づいていくことは起こり得ます。

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