描き下ろし時代小説編
「雪とけ柳」中島要著
呉服太物問屋「大隅屋」の若主人・綾太郎は、江戸に進出してきた京の老舗呉服問屋・井筒屋が気になる。客を装い偵察に行くと、侍と手代の会話が耳に入る。どうやら侍は、持参した振り袖と同じものを探しているらしい。しかし、汚れて着られなくなった振り袖は上物で、代わりは見つかりそうにない。翌日、同じ侍が大隅屋にやってきた。持参した振り袖は墨で汚れていた。振り袖は宮坂と名乗る侍が仕える家のお嬢様が許嫁から贈られたもので、7日後に迫った対面の日までに元通りにしたいという。綾太郎は、無理を承知で古着や汚れた着物を甦らせる着物の始末屋・余一のもとに宮坂を連れて行く。(禁色)
人気シリーズ「着物始末暦」第4弾。(角川春樹事務所 620円+税)