忌野清志郎 160万円の自転車オレンジ号盗難事件
<2005年9月>
高いメッセージ性を持つヒット曲を連発したロックシンガーの忌野清志郎。自転車ライダーとしても有名で、プロ仕様の特注自転車をツーリングや仕事の移動に駆使していた。しかし、05年9月に愛車オレンジ号が盗まれる騒ぎが起きる。
忌野がサイクリングに目覚めたのは01年、50歳の時だった。きっかけは00年暮れの山形での雪崩のニュース。生き埋めになった息子を10キロの雪道を歩いて、自力で助け出したおじいさんの話を聞いた清志郎は「いざというときに自分の子どもを助けられる体力を持たねば」と考え、鹿児島に住む友人の所まで歩く計画を立てた。
しかし、徒歩だとつい電車に乗ってしまうこともあるため、思いついたのが自転車。01年4月の誕生日にレーシングタイプの自転車を入手し、半年間トレーニング。9月には東京から鹿児島までの10日間の旅に出た。全走行距離は実に1422キロ。50歳になるロック界のカリスマのロングツーリングに周囲はビックリした。サイクリングの魅力に取りつかれ、愛車を「相棒」と呼び、ツーリングや大会だけでなく仕事の長距離移動にも使うようになった。到着時間が読めず、どの辺を走っているかもわからないため、仕事場で待つ付き人がプレッシャーを感じる場面もあったという。