(4)健康長寿のカギは男女とも「テストステロン」にあり
あなたはどんな人生を求めているだろうか? 「単に長く生きればいいのか?」「多少命が短くても元気に生きたいのか?」。男性医学の父・熊本悦明・札幌医科大名誉教授(私の父でもある)も、「テストステロンとどう対峙するかは“人生哲学”」と患者に話していた。
父自身は70代からテストステロン補充を亡くなる直前まで継続していた。92歳で転倒し硬膜下血腫で急逝したが、1人暮らしで自立生活を続け、認知機能の検査も満点で合格。亡くなる直前まで仕事をしていた。ある意味、テストステロンのおかげで、本人の望むピンコロ人生をかなえたのではないか。
生前に父が強い興味を持ったデータがある。東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子特任教授が発表したもので、高齢者の7割は75歳ごろまでは元気だが、その頃から徐々に自立度が低下する。女性は9割が70代半ばから緩やかに衰えるが、男性は80歳、90歳まで自立を維持する人が1割程度存在している。
その理由も父は「男性はテストステロン値が高いため」と分析した。「なるべく長く、自立した生活を送り、長寿を楽しむには更年期以降の女性へもテストステロン補充が効果的」と、女性のテストステロン値の調査研究と臨床を進めていた。