がんに立ち向かい51歳の若さで逝った川口浩隊長

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 下咽頭がんは徐々に小さくなったが、食道がんの進行はそれにも増して早かった。11月1日、食道から痰(たん)を出すためのバイパス手術が行われた。メスで患部を開いてみると、予想以上に進行していたため、同時に食道、胃、脾臓(ひぞう)を摘出した。

 14日、気管支を切開し痰を出すための管が肩と首の間から差し込まれると、しゃべることができなくなった。ひとみ夫人が白いボードを買ってきてそこに大きな文字を書いてやりとりをした。「耳は聞こえる」というので川口は筆談、ひとみ夫人は声に出して伝えた。

 それからわずか3日後に亡くなってしまうのだが、周囲はあの隊長が簡単に命を落とすとは想像できなかった。「必ず乗り切ると信じていた」と話すのは「川口浩探検隊」の番組関係者だ。

 同番組がスタートしたのは77年。川口率いる探検隊が秘境で遭遇するさまざまなアクシデントに立ち向かっていくシリーズは足かけ9年、45回にも及んだ。その多くがヤラセで、視聴者はそれを知りながら楽しむというバラエティーだった。

「川口さんは次第に本物を求めるようになり、危険を顧みず自ら何でもチャレンジするようになるんです。あんな強靭(きょうじん)な精神力を持った人が亡くなるとは……」(同)

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