「総選挙」直前連載 AKB48はブラック企業なのか<5>
AKBはブラック企業の特徴とそれを変えるヒントをはらんでいる
■大量採用・大量離職(繰り返されるオーディションと卒業)
■人格ばかりが品定めされ、組織内部でしか通用しない人気競争(選抜総選挙)
■地域を超えた配置転換にみられるような強引な命令(兼任・移籍)
■過酷な労働を納得させるための、経営者による自己啓発的な理念(秋元康の歌詞)
これらは若者を使い潰すブラック企業の特徴と共通している。やはり、AKBはブラック企業の縮図なのだろうか。実はAKBのシステムにはここ1、2年、微妙に変化が見られている。メンバーが運営の指示に対して、自分の主張を発言できる仕組みがつくられているのだ。
そのひとつが、昨年度から総選挙に導入された「立候補制」である。この制度によって、従来の強制参加をやめ、参加しないという選択肢がメンバーに与えられた。
こうして、総選挙に見切りをつけつつ、自分の活躍する分野を見つけ、立候補をしないことを前向きに宣言するメンバーが現れている。ある「不出馬」メンバーは得意を生かして魚釣りタレントという独特な道を切り開き、専門誌の表紙を飾り、テレビの釣り番組に出演するなどの実績を着実に重ねている。AKBを卒業したとしても、こうしたスキルや経験を生かして活躍し続けることができるかもしれない。