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坂倉昇平

1983年、静岡県生まれ。東京都立大学人文学部卒、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。若者の労働問題・貧困問題に取り組むNPO法人「POSSE」理事兼雑誌「POSSE」編集長。近著に「AKB48とブラック企業」(イースト新書)がある。

「総選挙」直前連載 AKB48はブラック企業なのか<2>

公開日: 更新日:

秋元康は「丸刈り」の峯岸みなみに歌を書いた

 AKBはブラック企業の縮図なのか。それを考えるヒントが、彼女たちが歌う曲の歌詞だ。というのも、AKBの歌詞にはメンバーに向けたメッセージが隠されていることが多いのだ。

 48グループには、メンバーのソロやユニットなども含めると800曲を超える歌があるが、そのほぼ全ての歌詞を書いているのは、秋元康である。その歌詞には、メンバーの置かれた環境を反映した自己言及的な歌詞が多い。メンバーの言葉や体験が歌詞に取り込まれていることも珍しくはない。

 それはAKBが、彼女たちの「物語」を楽しむコンテンツであり、偶然の出来事も歌詞を通じて「物語」に昇華させてしまうためだ。

 だが、秋元が歌詞に込めた狙いはそれだけではない。彼の歌詞はメンバーたちに自分たちの置かれた過酷な環境を納得させ、秋元の意思を浸透させる役割を担っている。

 一例を挙げよう。恋愛スキャンダル報道を発端とした、昨年の峯岸みなみ(21)の「丸刈り」事件は記憶に新しいだろう。「恋愛禁止」の是非や「丸刈り」の真相が取り沙汰されたこの事件についても、秋元はひとつの歌を書いている。

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