映画「紙の月」監督が証言 「宮沢りえはほとんど鏡を見ない」
舞台は94年の「わかば銀行」。契約社員の梨花(宮沢りえ)は夫との間に空虚感を感じる中、顧客である平林(石橋蓮司)の孫・光太(池松壮亮)と男女の関係に。光太が大学の学費のために借金していることを知り、平林の定期預金200万円を「キャンセル」扱いにし、光太に渡す。梨花の横領はエスカレートし、2人で贅沢三昧をするが、ベテラン事務員の隅(小林聡美)が不審に思い始め……。メガホンを取った吉田大八監督(51)は、梨花を「爽やかに破滅するヒロイン」と表現。主演・宮沢の素顔を語ってもらった。
――宮沢さんをキャスティングしたきっかけは。
「いつか仕事がしてみたいなあと思っていたからですね。宮沢りえを知らない人はいない。原作を読んだときは『横領する女性』像として宮沢さんの顔が浮かばなかったけど、逆にそれが面白いかなと。宮沢さんがやるのが一番想像がつかない。想像つかないということは一番見る価値があるなあと思った。自分の中でどうなるか興味があったんです。会ったのは今回の仕事が初めて。会ってすぐに構えず話せる方で、大事なことをズバズバとストレートに本音で話し合えました。宮沢さんは『演出が緻密』とおっしゃってましたけど、そんなことないと思う(笑い)。こっちがしつこく要求しても、割と涼しい顔でついてきたので。僕が鈍いだけかもね」