色仕掛けやカネで…映画「ジャッジ!」が描く広告業界の裏側
東京五輪の顔ともいうべきエンブレムのデザイン盗作疑惑騒動。世界中が注目する五輪エンブレムをパクるとはさすがに考えにくいが、広告業界の裏側を赤裸々に描いた映画「ジャッジ!」(13年、日)を見ると、そうとも言い切れない気がしてくる。
大手広告代理店に勤める若手CMクリエーター(妻夫木聡)は、世界最大の国際広告祭の審査員に選ばれた上司から、身代わり出席を言いつけられる。しかもスポンサー企業のドラ息子が作ったダメCMを、どんな手を使ってでも受賞させろとむちゃな役目を押し付けられるのだった。
映画は身代わり審査員となった主人公の視点から、国際広告賞選考の舞台裏のドロドロを描く。色仕掛けやカネで審査員を買収なんてのは朝飯前、いもしない難病の幼子を持ち出して泣き落としを仕掛けるヤカラまで出てくる始末だ。
「コメディーなので大笑いして楽しめますが、コネによるゴリ押しや数々の不正行為などは現実を基にしています。永井聡監督と脚本家の澤本嘉光氏はCM業界屈指のクリエーターで、国際広告祭の受賞歴や審査員の経験もあり業界の裏側を知り尽くしている。そうした経験を脚本に反映させているので、想像だけではまず描けないディテールやリアリティーが見られるわけです」(映画批評家・前田有一氏)