追悼・野坂昭如さん 時代を相手に暴れた「含羞の硬骨漢」

公開日: 更新日:

 作家の野坂昭如さんが9日、亡くなった。享年85。昭和ヒトケタ生まれの「焼け跡闇市派」を自称。その活躍は執筆活動にとどまらず、60年代から70年代は「黒眼鏡の鬼才」と呼ばれ、メディアの寵児に。本紙でも75年の創刊時からコラムや小説を連載。歌手、タレント活動、CM、作詞、猥褻裁判、国会議員……と時代を相手に暴れまくった生涯だった。

「句点が少なく、読点だけで書き進める独特の韻律を持つ“野坂調”の文章は樋口一葉の影響を受けたといわれています。若い頃から大酒飲みで、文壇に憧れながら酒を飲む日々をつづった『新宿海溝』という著作もある。晩年は完全なアル中でしたが、酒を飲むのは照れ隠しという側面もあった。昔から女性を口説くときも恥ずかしいからつい飲みすぎてベロベロになってしまう。自分が書いた小説やエッセーも酒が入らないと読み返せないほどでした。そもそも新潟県副知事の息子というお坊ちゃん育ち。本質は含羞の人でした」(出版関係者)

 14歳で終戦を迎えた強烈な戦争体験が思想の根幹にあり、反戦平和、反体制、反原発を貫いた硬骨漢。晩年は沖縄問題も憂慮し続けた。亡くなる直前に「新潮45」編集部に送られたコラムの原稿には「この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう」とあり、最期まで日本の行く末を案じていた。合掌。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 2

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  3. 3

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  4. 4

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  5. 5

    元フジ中野美奈子アナがテレビ出演で話題…"中居熱愛"イメージ払拭と政界進出の可能性

  1. 6

    広末涼子が危険運転や看護師暴行に及んだ背景か…交通費5万円ケチった経済状況、鳥羽周作氏と破局説も

  2. 7

    芸能界を去った中居正広氏と同じく白髪姿の小沢一敬…女性タレントが明かした近況

  3. 8

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 9

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  5. 10

    中居正広氏、石橋貴明に続く“セクハラ常習者”は戦々恐々 フジテレビ問題が日本版#MeToo運動へ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広末涼子が危険運転や看護師暴行に及んだ背景か…交通費5万円ケチった経済状況、鳥羽周作氏と破局説も

  2. 2

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  5. 5

    露呈された韓国芸能界の闇…“兵糧攻め”にあうNewJeansはアカウントを「mhdhh」に変更して徹底抗戦

  1. 6

    大阪万博ハプニング相次ぎ波乱の幕開け…帰宅困難者14万人の阿鼻叫喚、「並ばない」は看板倒れに

  2. 7

    大阪・関西万博“裏の見どころ”を公開!要注意の「激ヤバスポット」5選

  3. 8

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  4. 9

    広末涼子が逮捕以前に映画主演オファーを断っていたワケ

  5. 10

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い