唐十郎「状況劇場」で異彩 怪優・大久保鷹の“破天荒”人生
さて、鷹さんは明大在学中に唐十郎と知り合い、状況劇場の前身である「シチュエーションの会」に参加。路上演劇をプロデュースし、唐に台本を依頼した。
「唐さんの台本には『電信柱に上る男』とか、『相撲取りの格好で町を歩き回る男』という設定しかない。ボクに当てられたのは『水の中に潜っているだけの男』。厳冬の2月ですよ。当時あった数寄屋橋公園の噴水池は氷が張ってて、その中で1時間くらいジッとしてたら意識がなくなり、気がつくと、銀座4丁目交番で毛布にくるまれてた。そこに唐さんが身元引受人で来てくれ、“これで宣伝になりましたか?”ってイの一番に聞いたのを覚えてます。その路上劇は唐さんの次の公演の宣伝を兼ねてたんですよ。その際、ボクに男気を感じたらしく、結果的に絶大な信頼を得ることになりました」
■唐の片腕として活躍
以来、看板俳優としてはもちろん、涙十兵衛名義で劇団のタブロイド新聞を編集するなど肉体・頭脳の両面で唐の片腕として活躍。
新宿西口公園の無届け公演ではジュラルミン盾を持つ200人の機動隊に取り囲まれたり、上野不忍公園の水中からタンスを背中にくくりつけて登場したり、破天荒なエピソードは枚挙にいとまがない。