阿部寛主演「スニッファー」は“匂い”の映像化に成功した
過去、“灰色の脳細胞”から“富豪”まで、異能の探偵や刑事が登場した。しかし、“匂い”で捜査するというのは珍しい。土曜ドラマ「スニッファー 嗅覚捜査官」である。
主人公の華岡(阿部寛)は、800以上もの匂いを嗅ぎ分けることが可能だ。その能力を生かし、コンサルタントとして犯罪捜査に協力している。相棒は特別捜査支援室の小向刑事(香川照之)。これまで元自衛官による狙撃事件、新興宗教幹部を狙った連続殺人などを解決してきた。
まずは、華岡の嗅覚がすごい。何のデータもない相手でも、発する匂いで人物像のプロファイリングができる。また犯罪現場に立ち、鼻から空気を吸い込めば、どんな人物が何をしたのか、的確に言い当ててしまう。「私、失敗しないので」はドクターXこと大門未知子のキメ台詞だが、華岡のそれは「俺の鼻は間違えない」である。
原作はウクライナで制作されたドラマ(これも面白い)だ。林宏司の脚本は、オリジナル要素を加えながら舞台を日本に移し替えている。嗅覚を保護するために華岡が装着している、印象的な「鼻栓」も日本版の新たなアイデアの一つだ。テレビで“匂い”を伝えることは難しい。だが、このドラマではそのビジュアル化に挑戦し、成功している。阿部と香川のぜいたくな顔合わせもうれしい、異色のサスペンスだ。