<下>旧態依然の給与システムに風穴をあけたSMAPの功績
かねて日本の芸能プロは親元から若いタレントを引き取る際、親と子のような関係で身の回りの面倒からみて、育ててきた。駆け出しの芸能人も田舎を出る際、出家とまではいかないまでも、それに近い覚悟で門下生になっていたものだ。ベテラン歌手や俳優が事務所社長を「ウチの親父」などと呼ぶのは、長らくそういうシステムでやってきたからだ。
移籍や個人事務所を設立して独立する際も、暖簾分けで親事務所の系列に入ったりして、親に便宜を図り、その顔をつぶさないようにする。それが日本芸能界の「労働契約」で、それを守らないものは干される。芸能プロ幹部らに聞けば、ギャラなど「どんぶり勘定」でやってきたという過去の話が武勇伝のように語られているのだ。
そんな芸能界において、芸能人のギャラや待遇をグンと押し上げたとされるのが、このほど解散したSMAPだ。
「それまで事務所が額を決め所属タレントが従うという関係だったのを、元チーフマネジャーの飯島女史が間に入って、交渉するようになったんです。これはジャニーズ事務所内でも特例でしたが、結果としてSMAPメンバーは年収数億円となり、高額所得者となっていった。超売れっ子だから言い分が通ったとも言えますが、その後は芸能人の間でSMAPに続けという流れができた」と古参の芸能リポーターは言う。