「遺留捜査」は上川隆也の飄々とした雰囲気が物語を補完
主人公の糸村刑事(上川隆也=写真)が、遺留品への並外れた“こだわり”によって事件を解決していく「遺留捜査」。東日本大震災の年に始まったこのドラマも、今回で第4シリーズとなる。
大きく変わったのは、糸村が月島中央警察署から京都府警の特別捜査対策室へと異動したことだ。室長の桧山(段田安則)、刑事の佐倉(戸田恵子)や神崎(栗山千明)など、顔ぶれも一新された。
ただし、いつも糸村にヒントを与えてくれる、科捜研の村木(甲本雅裕)は人材交流で京都に来ている。無理難題をふっかける糸村と、逃げ回りながらも協力してしまう村木。2人の掛け合いはこのドラマの名物だ。舞台が京都になっても糸村の観察眼とマイペースぶりは変わらない。被害者の部屋に落ちていた人形。遺体の手元にあったコイン。さらに事件現場から消えた万年筆などから、隠された事実を探っていく。先週の物件は被害者である女性経営者(小沢真珠)が履いていた、かかとの折れたハイヒールだ。彼女にとって靴は戦いのツールであり、成功の証しでもあった。
遺留品というモノを通じて、人間の性や業にまで迫ろうとするこのドラマ。回によってはストーリー的にやや弱い時もあるが、上川が演じる糸村の飄々とした雰囲気と京都の風景が補っている。全9話なので、今週が最終回だ。