著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

「西郷どん」引っ張る鈴木亮平の全力演技と脇役の存在感

公開日: 更新日:

 大河ドラマ「西郷どん」が面白くなってきた。昨年放送の「女城主 直虎」と比べるのも酷だが、西郷を演じる鈴木亮平(34)のはつらつとした表情、セリフ、そして動きが断然気持ちいい。

 鈴木は朝ドラ「花子とアン」の夫役で注目されたが、映画「HK変態仮面」で見せた、針が振り切れたような全力演技が印象に残る。「西郷どん」でも、気持ちが高揚した時に繰り出す“怒涛の寄り”など、肉体派の鈴木ならではのものだ。

 そしてもう一人、このドラマを見るべきものにしているのが、島津斉彬役の渡辺謙(58)である。第4話で、父親の斉興(鹿賀丈史)に藩主の座から降りるよう迫った時、なんと弾を1発だけ込めたピストルでロシアンルーレットをやってみせた。さすが“世界のケン・ワタナベ”。画面の空気は一気に凝縮し、渡辺が完全に主役に見えた。

 実はこの名場面、林真理子の原作小説「西郷どん!」にはない。脚本の中園ミホのオリジナルだ。こうした手練手管がズバリと決まれば決まるほど、ドラマは盛り上がる。

 全体として男っぽい、男くさい大河だ。それだけに、西郷に思いを寄せる糸(黒木華)や後の篤姫である於一(北川景子)の出番には“ありがた感”がある。また西田敏行(70)のナレーションも大正解。悠揚迫らぬ調子にユーモアがブレンドされており、見る側をリラックスさせてくれるのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  3. 3

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 4

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  5. 5

    マイナ保険証「期限切れ」迫る1580万件…不親切な「電子証明書5年更新」で資格無効多発の恐れ

  1. 6

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  2. 7

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  3. 8

    Mrs.GREEN APPLEのアイドル化が止まらない…熱愛報道と俳優業加速で新旧ファンが対立も

  4. 9

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  5. 10

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差