食の素人が3カ月で放送準備…「テレビって乱暴なんです」

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 90年代に6年間放送された「料理の鉄人」(フジテレビ系)は、23時台(初期は22時半スタート)の放送にもかかわらず、番組平均視聴率14.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した伝説の番組だ。海外でもリメーク版が放送された最強コンテンツは、先月行われた番組開始25年記念の同窓会も各紙誌で取り上げられた。そんな大人気企画で演出を務めた田中経一氏に、いまだから明かせる舞台裏を聞いてみると――。

■町の中華屋でチャーハン以外食べたことがなかった

 挑戦者が鉄人のひとりを指名し料理で勝敗をつける“格闘スタイル”はエンターテインメントに振り切った味付けで、「きょうの料理」や「3分クッキング」といった実用的な料理番組を見慣れている視聴者を驚かせた。

「そもそもの始まりは、フジの編成さんから“日曜22時半に対決形式の料理番組をやりたい”と話をいただいたことでした。ただ、レギュラーでやるなら対戦者が毎回代わるのではキャラクターが立たない。道場破りのスタイルでやるべきだって思いましたね。大好きなゴジラやウルトラマンを参考にしたんですが、どうせなら、中華VSイタリアン、フレンチVS和食など異種格闘技戦の方が面白いなって。ところが、コワモテ料理研究家の結城貢さんから『ンなもん、できるわけがねえだろ!』と一喝されたんです。当時の僕は、ろくさん亭や四川飯店、クイーンアリス迎賓館なんて行ったことがなく、町の中華屋でチャーハン以外食ったことがないようなやつでした。そんな食のシロウトが料理評論家の岸朝子さんらの協力を仰ぎ、3、4カ月の準備期間でなんとか放送にこぎ着けた。テレビって乱暴なんです(苦笑い)」

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