不易糊工業 鈴木勝也社長(1)赤いフタと黄色い入れ物の犬をモチーフにしたレトロな糊でお馴染み
“でんぷん糊”ときいてパッと思い浮かばなくても、幼稚園や保育園の工作で使うあの糊といえばほとんどの人が使ったことがあるのではないだろうか。
赤いフタと黄色い入れ物の犬をモチーフにした昭和レトロが特徴の「フエキくん どうぶつのり」だ。こちらを作る不易糊工業株式会社は1886(明治19)年に創業した。
「足立市兵衛が足立商店という名前で、大阪市内で創業したのが始まりです。創業当初からでんぷん糊を作っていたのですが、当時の糊というとご飯をつぶしたもので、乾燥したり、カビが生えたりと、非常に保存性の悪いものでした。そこで、腐らない、保存性の良いでんぷん糊の開発を始めたそうです」
そして1895年、日本初の腐らないでんぷん糊「不易糊」が完成した。「不易」とは中国の故事に由来し、永遠に変わることがないという意味がある。1924(大正13)年に不易糊工業株式会社とし、「不易糊」を看板商品に文房具メーカーとして歩み始める。
会社案内に「1973年、ホルマリンを使わない安全無毒なでんぷん糊」の製品化に成功したと大きく書かれている。これにはどんな意味があるのだろうか。