キーワードは癒し 石田ゆり子エッセーが20万部突破の理由
印象に残っているのは郷ひろみが離婚までの経緯をつづった「ダディ」。AV出演や整形手術まで明かした故・飯島愛の「プラトニック・セックス」がある。いずれもベストセラーとなった。近年では女優の岸恵子があくまでも小説として書いた「わりなき恋」も反響を生んだ。「岸自身の恋愛体験と小説がかぶる内容」に、小説に出てくる男性を探し当てる記事も出たほどだった。
一時、芸能人のブームだった「ダイエット」や「介護」をテーマにした本もすでに飽和状態。その間隙を縫うように出版された石田本は「新しい形のタレント本」ともいわれるが、人選は限定される。
石田の最大の魅力は「癒やし系」にある。男性を意識して「色気」を売るわけでもなく、女性が嫌がる「媚」を売るわけでもない。あくまでも自然体。「こんな女性が家族(母・姉)にいたら」「こんなふうに年を取りたい」と憧れる存在。疲れた時になんとなく眺め目を通して癒やされる。若手でも綾瀬はるからが「癒やし系」と呼ばれているが、石田は別格の存在。
芸能プロ関係者によれば、「セクシーを売りにする演出は難しくないが、癒やしは本人が潜在的に持っているもの。演出は難しい」という。
確かに、石田は年齢を重ね役のイメージともかぶり自然に「癒やし」が醸し出されてきたのだろうと思う。セクシー女優もいいが、今後は癒やし系女優がキーワードになる。