ヴェルサイユの宮廷庭師(2014年、英国)
17世紀フランスで、国王ルイ14世は宮殿の増改築を計画。宮仕えの庭園建築家アンドレは、園内の“舞踏の間”をデザインする庭師を公募する。女性の社会的地位が低かった時代、目に留まったのは無名の女性庭師サビーヌだった。
ヴェルサイユとかルイとかいうと、宝塚っぽくて敬遠しがち。でも、そんなフランスを舞台にした人間ドラマとして本作を見るといい。貴族の気取った感じをユーモラスに映し出していて、現代にも通じる人間模様をテンポよく描く。
アンドレはサビーヌに冷たい態度を取っていたが、秘書の一言で一緒に働くことを決意。その秘書の言葉だ。
サビーヌ役は、オスカー女優のケイト・ウィンスレット。仕事に頑固で情熱的な女性を見事に演じる。
アンドレとのベッドシーンでヌードは拝めないが、セクシーな演技にそそられる。「彼女のための映画」といっても過言ではないだろう。
男なら誰しも応援したくなる美女だ。キャリアウーマン像をしっかり描いている。
メガホンを取ったのは、今は亡き演技派アラン・リックマン。国王役も兼ねていて、ちょっと抜けていて、気取っていてもどこか憎めない人間性をうまく演じる。「ダイ・ハード」の悪役や「ハリー・ポッター」シリーズで有名な彼の丁寧な演出で、心に春が来たみたいに温まる。家族で楽しめる秀作だ。